下北沢の昭和臭な木造アパートにその探偵事務所はあった。代表は自らを国際探偵と名乗る時枝駿。一流商社の就職試験に落ちたものの、海外への冒険心が捨てきれず、バックパッカ―としてユーラシア各地を放浪。ひょんなことからフィリピンでの誘拐事件解決に一
役買い、それに味をしめて「海外での人探し&連れ帰り」をビジネスとして始めたのだが… 実際のところ、開業以来、まるで依頼はなかった。そんな時枝に誘拐事件で知遇を得た一流商社会長を通じて、急なオファーが舞い込む。とある老夫妻のアメリカで嫁いだ一人娘が日本に戻りたくても簡単には抜け出せない状況にあるという。その特別な事情には、国際的な法秩序の壁が大きく関与していた。自称「国際探偵」でありながら経験値の低い時枝は受任すべきか大いに迷う。。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-11-09 01:00:00
35018文字
会話率:39%