夫であるリーフク・リリィ・オスーベリーに裏切られたオスーベリー公爵夫人のルシーナ・リリィ・オスーベリー。尤も、もう直ぐ離婚をする予定なためルシーナ・リリィ・エースロールになるのだが。
撫子色の瞳と、薄墨色の髪の持ち主の彼女は、政略結婚でリー
フクに嫁いだ。政略といってもルシーナはリーフクのことを異性として慕っていて、リーフクも己のことを異性として想ってると思っていた。
だが、ルシーナは信用出来る学園時代の親友から——。
『ねぇルシーナ様! 私見てしまったの! 貴女の旦那様が、違う女性を別宅に入れるのを!』
信じられない、という気持ちも無論あった。だが、どんどん証拠を掴んでいって、目撃者もたくさんいて、もう、信じないという真似は出来なくなった。
場面は変わり、ルシーナがリーフクを問い詰めている最中。
「ち、違う! 俺はそんなことしていない!」
「リーフク様……。わたくしだって、そう思いたいですわよ」
だが、どんどん問い詰めていくうちに……。
「もう一人の妻がいます!」
——と、白状したのだ。
離婚届にサインをしてもらい、慰謝料も近日中に貰うことになるだろう。
ルシーナは部屋を後にする時に、リーフクを冷たい目で見ていた。だが、その瞳の中には悲しさの色が映っていた。
真冬の時期はどの領地よりも寒い、オスーベリー領。
それをルシーナは約一時間、歩いていた。
(つら……い)
積雪に埋もれないように足に力を入れて進むルシーナは、もう限界を超えたと言っても良い。
そして、やっと、やっと暖かそうな土地が見えて、あそこがオスーベリー領の終わりなのだと分かった。
頑張って最後の力を振り絞ると、やっとオスーベリー領を抜けた。
だが、当たり前だがルシーナはその抜けたところで倒れる形で眠ってしまった。
〜〜***〜〜
ルシーナが倒れてしまって暫く経った頃。一人の男が通り掛かった。
「……?」
人影が見え、そこに行ってみると、そこには一人の女が倒れているではないか。慌てて息をしているか確認をすると、眠っているだけだと分かり胸を撫で下ろした。
『クゥン』
「……! なんだ、ベズか。すまない、この女性を助けるのに手を貸してくれるか?」
『クン』
「ありがたい」
——ルシーナは一匹の狼と一人の男によって、助けられた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-29 07:28:55
16784文字
会話率:44%
十三歳になると女神から特別な能力が与えられる聖エブオロニア王国。
能力は日常生活をちょっと便利にする些細なものから国の重大な要になるものまで様々だ。
そんな中、あまり役に立たない能力を与えられた伯爵令嬢のエルシオーネは社交界で『ハズレ姫』
と呼ばれ嘲笑されていた。
更に女王主催の舞踏会で婚約者の浮気現場に遭遇し、そのまま婚約を解消されてしまう。
しかし、その後に出会った王子に「君は俺の運命の女性だ!」と求められて――!?
これは、王家の至宝と呼ばれるほど完璧なのに実は訳ありの王子と、ハズレの能力を与えられた伯爵令嬢の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-29 21:23:15
13049文字
会話率:31%
不遇ヒロインが千文字で逆転ざまぁのハッピーエンド。
―― ホウキで空を飛ぶのが当たり前の国。
どうしても飛べないために家族から厄介者扱いされて育ち、ついに棄てられた令嬢は 『飛ばない』 青年と出会う。
第6回なろうラジオ大賞参加作品です。
最終更新:2024-12-29 07:20:00
1000文字
会話率:41%