肉は人類の敵である。
それがクロッシェン王国における美の基準だ。
無駄な肉が付くのは怠惰でだらしない人間である証。逆に、無駄な肉のつかない細い体は勤勉で誠実な証とされていた。
確かに、日頃の運動不足や贅沢が祟っての肥満であれば話はわかる。
けれど、クロッシェン国は少し行き過ぎていた。
数代前の、圧政を敷いた愚王が余分な肉を蓄えブクブクと丸く肥えていたからその恨み辛みもあるのだろうけれど、とにかく肉に対する嫌悪が半端ではない。
そのせいで、付かない方が良い肉と付いていなければならない肉の区別も付かないのだ。そんな歪な美意識が出来上がってしまったのである。
つまり、女性は胸や尻に丸みを帯びているほど、男性は逞しい筋肉を育てるほど悪なのだ。
「行きますよ、お嬢様!」
それはおかしいとベロニカ・ベルドットが気付いたのは、15歳には不相応なたわわに実ったバストを親愛なる侍女に締め潰される真っ最中の事だった。
■R15、残酷な描写は保険です。美醜逆転、体格差が書きたかったのにあまり活かせなかった……
書きたいところを書いているので、さらっとお読みください。短編の予定で書いていたのですが、長くなったので小分けに投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-03 00:25:27
14774文字
会話率:19%
妹に皇太子妃候補の座をおねだりされた私は、「妹の部屋にあるものすべてと交換する」という条件でおねだりをきいてあげることにした。
おばあさまの形見である『精霊のかぎ針』を取り戻した私は、どこかでひっそり目立たずのんびり隠遁生活をしようと心
に決め公爵家を家出。
途中、皇国の外れにある宵の杜へいく空竜に遭遇。空竜に『精霊のかぎ針』で編むクロッシェは竜や精霊にとっては特別なものだと教わり……。そう言えば、私は、『精霊のかぎ針』は植物の魔力を編むことが出来ることくらいしか知らなかった。そこで、『精霊のかぎ針』の秘密を知るために竜の世界へ。
――実は、クロッシェは魔法アイテムとしてすごいものだった!
そして、竜王様のお願いで、宵の杜にいる精霊王を助けることに。
騎士団の副団長や魔術師も仲間に加わり――。
このお話は、『宵の杜の魔女』と呼ばれるようになるまでの皇太子妃候補から外れた公爵令嬢のお話。
(……本当に皇太子妃候補から外れられたかは微妙……)
*植物の効能についてはフィクションです。実際の植物を参考にしていますが、あくまでも架空の話です。(参考程度なのであしからず)
*R15は念のため。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-24 10:40:41
284557文字
会話率:57%