「神です、救ってください」
店に入るなり開口一番ぶっとんだことを言い放ったのは、今私の前でカウンターに腰かけている自称『世界救世神』。世を忍ぶ仮の名前はメシアさん、らしい。
ボサボサの髪に不精ヒゲ、イバラを編んだ丸い冠。
着ている服
は白い法衣のようなもので、その容貌は控えめに言って胡散臭い。
「えっと、救ってくださいというのは?」
とりあえず水を差しだし、メシアさんの話を聞くことにする。
自称救世神は水を一気に飲みほすと、ふうっと息を吐いて顔をあげた。
「このお店は悩みごとを何でも聞いてくれるという噂をきいてね」
うちは私とごく少数のスタッフで経営している、小さなスナックだ。
確かに私はよく悩みごとの相談を持ち掛けられる。
まだ三十歳にもなっていない人生経験の浅い小娘だけど、ハッキリした物言いが受けたのか、クチコミで評判が広がっているらしいのだ。
今夜はスタッフは私一人で、今のところお客さんもメシアさんだけ。とりあえず彼の悩みをじっくり聞いてみることにしようと、カウンター越しに向かい合う。
「そうね、それじゃあ……。とりあえず、救ってくださいってことは救って欲しい悩みがあるんでしょ。良かったら話してくれる?」
「はい。これは東京都こころのお悩み相談電話室にも相談したことなのですが……」
「電話したのかよ!」
この救世神、予想以上に社会のセーフティーネットを活用しているようだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-23 19:02:19
4007文字
会話率:54%
私は、ホテルで夜勤をしている。かなり酔っている女がルームキーを持って帰ってくる。女はカウンター越しに話を聞いてくれと言った。
私自身の未だ消化できていなかった過去の傷と、目の前で正直に後悔をする女の傷が触れあうと、前に進む力になる。
最終更新:2021-04-23 11:35:04
3008文字
会話率:46%
覚えています。あなたの目尻の皺を。
✳︎✳︎✳︎
短いです。読んでいただければ、幸いです。
最終更新:2019-10-24 20:05:39
1986文字
会話率:37%
近未来、地球から宇宙の星々への移住計画が進む時代。
宇宙に移住できなかった人間は資源の少ない地球に留まり、配給品を受けつつ崩壊する世界の中で細々と生活を送っていた。
そんな人々が暮らす南の離島、海側町には美味しいモーニングを出す喫茶店がある
。
店主、悟郎さん。そして常連客である、亜美さん。
お互いに秘密を持ち合う二人は、何事も無い顔で毎朝、カウンター越しに向かい合う。
という、モーニング×恋愛×近未来×崩壊しつつある世界
です。
それほど暗いお話ではないです。まったり近未来日常小説です。
2019/7/28 完結しました。お付き合いありがとうございます! 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-28 19:20:08
126931文字
会話率:28%
「残念ですが今回は不合格です。次の試験は7日後になりますので、また改めていらしてください」
カウンター越しから、眼鏡の青年がその顔つきに違わぬ柔和な口調で、それとは裏腹の厳しい事実を僕に突きつけた。
「えー…」
思わずため息とも抗議と
もつかない、ただ残念を訴える声が口から漏れてしまった。
『”登塔者”認定試験』 。僕がこの街”トリトラ”に来た目的のための、はじめの一歩目だ。
でも、その一歩目で早速躓いてしまったのは、ちょっと…想定外…。
「まぁ、そう落ち込まないでください。この試験に一発合格するなんて、年に一人いるかどうかなんですから」
「はは、凡人なりに、一発で合格しようと頑張ったつもりでしたからねー。やっぱりちょっとショックです」
励ましともなんともつかない受け答えに対して、試験の費用だってそう安い金額ではないことも思い出してしまい、少しばかりヤケ気味に返事をしてしまった。
「確かに、ベーレンズさんは初めての試験にしては筆記の成績はかなり良かったですから、相当頑張って勉強なさってきたんだとわかりましたよ」
これはちょっと嬉しい。ささやかなお褒めの言葉に、少しにやける。
「ただ実技試験が今回得点不足でしたね、身体能力は足りてますが、食用獣の解体や武具の分解・修理、あとは模擬戦闘もあと一歩ですね…」
納得せざるを得ない指摘に、真顔になる。
だって、獣の肉を捌くなんて今まで自分でやったことがなかったし、武具も壊れたら新しいのを買ってもらっていたから、直したことなんてなかったし、しょうがない。
それよりも、小さい頃から真面目に打ち込んできた剣術も通用しなかったことが悔しかった。
「この試験に合格点を差し上げられない方を、塔に登らせるわけにはいかないんですよ」
頑然と言い切られる。仕方がない。
この試験を突破できないということは、”塔”に挑んだところですぐに野垂れ死ぬのが関の山ということなのだ。
「そんな落ち込まないでください…。また受験してください、何度でも大丈夫ですから。」
わかりました、ありがとうございます。
と力なく返事をして、僕はギルド会館を後にした。
「…これからどうしようかなあ…」
これは、天を貫く高い高い巨大な塔と、そこに挑む”登塔者”たちと、それらを擁する街がある島の、なんてことはない日々の話。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2017-08-31 09:00:00
279文字
会話率:0%
パリのブランジェリーで働くエドガーは、スマートなスーツ姿のフォースターさんが毎朝やってくるのを楽しみにしている。カウンター越しに会話を交わしていくうちに少しずつ二人の距離は近づいているような気がしていたけれど…
パン屋さんのほのぼのボーイ
ズラブ。このお話は、ツイッターで交流のある三名の書き手による共作です。人物設定はmayuさんに、プロットはこのはなさんにご担当頂き、花緒が好き勝手書きました。初めての体験でドキドキ嬉しいです。
mayuさん https://twitter.com/mayu3613
このはなさん https://twitter.com/hana_gomori3
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-05-29 22:21:38
8600文字
会話率:55%
ここはマスターがカウンター越しにいろいろな話をしてくれるちょっと隠れた素敵な喫茶店。
一杯の珈琲を片手にどうぞ。
with coffee break シリーズの2作目です。
どうぞ、珈琲と一緒にお楽しみあれ。
最終更新:2015-01-21 01:03:17
1586文字
会話率:18%
ここはマスターがカウンター越しにいろいろな話をしてくれるちょっと隠れた素敵な喫茶店。
一杯の珈琲を片手にどうぞ。
with coffee break シリーズの1作目です。
どうぞ、珈琲と一緒にお楽しみあれ。
最終更新:2015-01-15 17:55:01
1511文字
会話率:25%
とある酒場で。
「いつものを頼む」
カウンター越しに注文をする男。ここで過ごすひと時は、男にとって心安らぐものだった。
「ちょっと聞いてくださいよ!」
…だったのだが。
「なんだ?」
突如隣の客から声を掛けられる。見ればすでに出来上がってい
る女が一人。
少し風変わりな二人の出会いは、こうして始まった。
***
こちらは小話「甘党男と酒やけ女」の前世の物語です。
甘党な陛下と酒やけ声の王女がいかにして近づいていくのか。
ファンタジー成分が圧倒的に足りないファンタジーなお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-11-01 22:00:00
68382文字
会話率:43%
会社社長のあたしはいつも昼になると、馴染みのステーキハウスで食事を取る。ステーキのコースものを頼んでいた。今から四十年以上前、高校を中退してアメリカで洋食料理の修行をしてきたマスターは肉を焼くのに慣れているようで、カウンター越しにでもあたし
と会話が弾んだのだが……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-10-08 16:22:41
2815文字
会話率:72%