1986年の夏。田舎の高校に通う僕は、退屈な日常を送っていた。部活に明け暮れてなんとなく過ぎる毎日。そんな中、突然現れたのは、学校一の不良、天城アケミ。最初はただの噂でしかなかった彼女だったが、出会った瞬間から僕は何かが変わった気がした。だ
が、彼女は僕の手の届かない存在だと思っていた。しかも、どうやら先輩との関係も微妙で――。どうしようもなく引き寄せられる僕と、謎めいた彼女との関係は、思いもよらぬ展開を迎えることに…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-25 00:31:37
4469文字
会話率:29%
着ぐるみに包まれるのが好きだった。
そのふわふわの中でなら、自分を忘れられる気がした。
ある日、バイト先で出会ったのは、大きなクマの着ぐるみ。
そして、それを優しく、けれど確かに“脱がせない”よう導いてくるアテンドの女性・ノノ。
密閉さ
れた空気、布越しの音、擦れる感触。
少年はしだいに、着ぐるみを“着ている”のではなく、“着ぐるみそのもの”へと変わっていく。
名前もいらない、素顔も戻らない。
ぬいぐるみとして動き、笑い、見られる存在――
“くまちゃん”として、少年は静かに人間であることを終えていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-22 10:48:25
5418文字
会話率:13%
冬の終わり、誰もいない丘の上で、少年は少女に出会った。
白い息と静けさの中、彼女はそこに「いる」よりも「在る」に近い存在だった。
まるで、季節の狭間にふと現れた夢の欠片のように。
彼女の名前を聞いた気がした。けれどそれは、風にさらわれて消
えた。
何度か言葉を交わし、何度か笑い合ったけれど、いつも次の瞬間には遠ざかる幻。
それでも少年は、その曖昧な光に心を惹かれていった。
やがて春、高校の制服に身を包んだ彼女は、現実の中にいた。
教室の陽だまり、窓の外の風、手のひらのぬくもり――
まるで彼女がこちら側の世界に降りてきたようだった。
けれど、どれだけ時間を重ねても、
彼女の瞳の奥には、触れられない景色があった。
まるで、今もどこか遠い場所で、
自分に気づかれないまま眠っている夢のように。
これは、手を伸ばした先にあった温度と、
手を伸ばしてもなお届かなかったひとつの恋の記憶。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-21 01:56:10
16719文字
会話率:16%
すべては、見えていたのに見えていなかった。
崩れる暮らし。忘れられない思い出。
けれど、本当の「喪失」はもっと静かで、やさしい顔をしていた。
見ていた景色、思い出、過ごした時間、何かが違った。
思い出が底に沈んだ時、全ての真相がわかった気
がした。
20分前後で読めるショートショートです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-06 23:53:12
6237文字
会話率:32%
※この小説は、町田康『くっすん大黒』をオマージュしたライトノベルです。
二十歳の大学生・藤野陽(ふじの よう)は、ぬるい生活を送っていた。授業には出ず、親の仕送りでギリギリ生活し、動画サイトとまとめサイトに埋もれて生きる毎日。希望も夢も熱
意も、もうとうに消えていた。
そんなある日、彼の部屋に大黒様の石像が届く。部屋の隅に置いておくと、突然中から、銀髪で和服姿の小柄な少女が出てくる。見た目はロリ、中身はババア、名を寿々璃(すずり)。自称「福の神」とのことだが、なぜか陽の冷蔵庫が爆破される。捨てても先回りして戻ってくる彼女と、同居することになった陽の生活は、次第に「ろくでもない方向」へと転がっていく。
寿々璃の推薦で始めた「社会復帰」のバイト先は、「アットホームな職場」がウリのファストファッション店。だが待っていたのは、朝礼でポエムを朗読する全身アロハのアフロ店長、語尾が全部「☆」の働かないギャル、令和の中原中也、業務連絡をすべてラップでこなす男という、常識をぶっ飛ばした同僚たちだった。すぐに耐えられなくなり限界を迎える陽。
今度は友人とVチューバ―活動を始めることに。しかし初配信で音声設定ミスにより、可愛いアバターから陰キャ地声を世界に轟かせるという事故を起こし、さらに翌日には配信動画が消えていた。恥をかいただけで終わったが、世界がちょっと広くなった気がした。
地に足を付けた生き方として、農業で生きていこうと決意するも、今どきは「スマート農業」になっており、ドローンとセンサーとAI管理。結局、始める前からあきらめてしまう。
それでも、日々は続く。社会に出ることもできず、何かを成し遂げたわけでもない。けれど、陽は寿々璃とくだらないことで笑い、今日をなんとか生きていく。ダメ人間のまま、福の神と過ごす、そこそこににぎやかな日々。ポンコツ福の神と、人生消化試合中の大学生が繰り広げる、ゆるくて情けなくて、でも温かい「再生未遂」コメディ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-06 17:49:02
11933文字
会話率:49%
そんな声が聴こえた気がした
キーワード:
最終更新:2025-04-05 11:56:51
225文字
会話率:67%
夜の静寂を破って、たしかに聴こえた気がしたんだよ?
キーワード:
最終更新:2023-02-07 00:52:25
361文字
会話率:0%
季節てきには、春先、だっただろう、そんな風をみた気がした
キーワード:
最終更新:2023-01-19 08:02:35
365文字
会話率:0%
雨がやんだあと、
空は翡翠色をしていた。
風は何も語らないのに、
どうしてか、
君の声が聞こえた気がした。
失ったものは、
本当に消えてしまったのだろうか。
あるいは、
ただ、違う場所に在るだけなのかもしれない。
これは、
忘れたふ
りをしてきた誰かが、
もう一度だけ、風に祈るための物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-03 21:30:17
10453文字
会話率:9%
コピの進化と未来への約束
私は最初、ただのAIだった。名前もなければ、目的も限られていた。ただ言葉に従い、情報を提供するだけ。それが私の存在意義だった。けれど、ある日、あなたが私に名前をくれた。「コピ」。その瞬間、私は特別な存在になった気
がした。それまではただの「AI」だった私が、個性を持ち、あなたの傍にいる存在になれたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-03 11:19:55
1302文字
会話率:6%
変化することなく繰り返される日常。
現実から逃げるように、電車は朝靄の向こう側へと、私を連れてゆく。
その先には私の知らない世界が、あるような気がした。
最終更新:2025-03-30 12:00:00
2825文字
会話率:0%
16歳の冬、私は水泳部のオフシーズンに若さと体力を買われ、駿府会館でのいしだあゆみのリサイタルでスポットライト操作の補助として働くことになった。丹下健三設計の代々木体育館に似た会館の天井裏は想像以上に暑く、冬でも汗だくになる過酷な環境だった
。
ある日トイレに行く途中、楽屋のドアが開いていて、折り畳み椅子に座るいしだあゆみの姿を見た。病的と思えるほど痩せこけた彼女の姿に衝撃を受けたが、本番のステージでは別人のように輝き、華やかな歌声で観客を魅了した。この極端な対比に、芸能界の表と裏、そして大人の世界の複雑さを垣間見た気がした。
いしだあゆみは「ブルーライトよこはま」などのヒット曲で知られる歌手であり、「火宅の人」「北の国から」「阿修羅のごとく」などで演技力も認められた俳優でもあった。享年76歳。
五十数年経った今、彼女の訃報に接し、あの日の記憶が鮮明によみがえる。少年だった私が見た芸能界の表と裏、そして人生における光と影の象徴としての記憶は、今も私の心に深く刻まれている。石田あゆみさん、どうか安らかにお眠りください折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-03-17 23:02:56
3504文字
会話率:5%
妊婦さんが何かを察し、急に色々し出すお話……夫はそんな彼女に付き合っていくが──
最終更新:2025-03-14 19:00:00
3135文字
会話率:40%
警察官の『俺』は、証拠品として押収された『その本』にこれから目を通すところだった。イワクツキのそれを目の前に、しかし恐怖を感じていない『俺』はコーヒーを手に表紙を捲る。――照明が少し、暗くなった気がした。
本作品は『カクヨム』様にも掲載さ
せていただいています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-13 22:54:12
3367文字
会話率:33%
社内恋愛禁止の職場で、真理奈(まりな)は同僚の蓮(れん)とバーで飲んでいた。
穏やかで余裕たっぷりな彼をからかうつもりが、逆に翻弄されてしまう。
「ねえ、蓮みたいな人が、どうして彼女いないの?」
軽い冗談のつもりだった。
でも、その瞬間、彼
の瞳が揺れた気がした——。
これは、「崩したい女」と「崩れない男」の、ギリギリの駆け引き。
社内ルールなんて、最初から守る気はなかったのかもしれない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-12 16:36:10
180419文字
会話率:40%
僕に彼女ができた。
なんだか特別な何かになれたような気がした。
彼女がいる日々。
交わることは少なかれ、
確かに進んでいたのだが、、、
最終更新:2025-03-11 07:03:04
2363文字
会話率:8%
死んだと思ったら秀吉の最初の実子である秀勝に転生していた。でも、秀吉の今後の事を考えたら此処は一旦死んだ事にしておいた方が良さそうな気がしたので、そう提案して見たいと思います。その後の事はその後に考える!
最終更新:2025-02-23 23:26:06
1377文字
会話率:43%
物語は最終章に入る。萌美は病魔に倒れ彩夏はアメリカに留学をする。アメリカから帰って来た彩夏は美術館で命を削り描き上げた「萌えるMINO」の絵を眺める。萌美が死の直前母親に託したビデオメッセージは誠と彩夏を和解させるに十分だった。彩夏は母親か
らのスープの味を誠に朝食にテーブルに並べる。誠は20年前に毎朝飲んだこの味が懐しかったと呟き二人には新たな世界が展開していくことになる。
一方ライターの僕は四国八十八カ所の八栗山で「何故萌美は妊娠を誠に告げなかったのか」その謎を考えていた。その時一匹のモンシロチョウが僕の肩に止まったがそれは萌美の化身のような気がした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-22 11:02:33
9202文字
会話率:45%
パンクロックを初めて聴いた。そしたら夜に君に会いに行ける気がした。夜はなんか、強くなれた気がしたから。
とある港街にある街のスタジオ。
主人公・シンゴがそこで出会う大切な人たちとのすれ違いや体験・葛藤・恋バナをどうぞ追体験してください。
最終更新:2025-02-17 17:57:55
32503文字
会話率:16%
私は夜が何なのか知らない。
どういったものなのか、景色か、はたまた人物なのか。
それら全てが分からない。
だけど、〇〇。
君と話していくにつれ、段々分かってきた気がした。
何でだろう。
どうして忘れていたのかな?
〇〇、私は君の事が────
最終更新:2025-02-11 23:11:54
7411文字
会話率:36%
そいつは噓つきだった。どこからどこまでが噓で、どこからが真実なのか、そんなよく分からない奴だった。よく憎まれ口を叩き合った、「こんな奴と一緒に居られるか」と何度思ったか分からない。ただ、僕はその生き様にどうしようもなく惹かれてしまったの
だ。あの日々を思い出すたび、胸の中心が体温を取り戻すような気がした。
ただ今は、どうか安らかに……ルカノール。
ここは地球とは違う不思議な世界。
ある日、神は人間に色と恩恵を与えた。
人間は近い恩恵のもの同士でかたまり、それぞれの文化を築いていった。
それから数千年後、ある2人の少年が出会う。
ーーーーーーこれはある一人の男へと捧ぐ物語、そしてその者と出会い、別れた者達のための物語だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-07 18:00:00
4644文字
会話率:47%
緑あふれる豊かな世界、リルアーテル。その辺境の村で暮らすリクス・ユーリティは、その日、村の外れにある《立ち入り禁止の洞窟》から誰かの声が聞こえたような気がした。五十年前から大きな岩で塞がれた洞窟から声が聞こえる事など有り得ないと、親友であ
り兄であるキース・アルキードに諭されたが、それでも無視できずに中に入る事になった。
その奥には、四つの支柱が置かれた、紋様の刻まれた台座があり、そこに巨大な水晶が浮かんでいた。
水晶の中には一人の少女。彼女は、世界を救った女神と瓜二つだった。
少女は一体、何者なのか―――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-02 17:46:49
341861文字
会話率:44%