ある夏の日、担ぎ込まれるようにきたあの人は、目をさますと私の方を見た。
ゆらりと立ち上がったあの人は、縁側にある草履をひっかけて、しゃり、しゃりとゆっくり歩いてくる。
私に優しく触れたあの人。
その指先は時に、ある色に染まった。
私はそ
の残り香を、かさりと受け止めた。
白侘助という椿と新撰組・沖田総司との逢瀬の物語です。
*本作は、佐倉治加さま主催
『真冬に染みるくれなゐ』企画の参加作品です。
無断転載を禁じます。
(c) なななん2018折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-04 15:09:01
2414文字
会話率:28%
植木職人の家に生まれた顔つきの違う一卵性双子の女の子ヒナタとコカゲ。生まれた直後にコカゲが裕福な実業家の養子に貰われてゆく。互いを知らぬまま育った二人は、中学進学とともに毎朝横断歩道ですれ違うようになる。
ある朝、車に轢かれそうになったコカ
ゲをヒナタが助け、それを機会に仲良くなった二人は、互いの気持ちが伝わり息が合う事を不思議に思いながら過ごしてゆくが、3年生になって間もなくヒナタの両親が交通事故で亡くなる。孤児になったヒナタをコカゲの両親は双子とは知らずに里親として引き取るが、事件が起こる。悩んだ末に家を出て北海道へ向かうヒナタ。そこにはかつてコカゲと一緒に迷子犬を助けようとした時に知り合った環がいた。やがて明らかになった迷子犬の正体、そして環はヒナタとコカゲの関係も予言する。その証拠は生前、ヒナタの両親がコカゲの家の庭に植えたサネカズラの花言葉にあった。シンクロするように、そのことを告げるLINEがコカゲから入る。
遠く離れてしまった二人。しかしコカゲは更に二つ目の花言葉を添えて来た。
そして二人が更に一歩を踏み出した春、サネカズラは二つの花をつけます。
切なく、しかし仄かに温かい、そして北の大空に瞬く双子座の二つの星を、しっとりとご覧下さい。
※本作品は「エブリスタ」「カクヨム」サイトにも公開します折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-24 00:00:00
60998文字
会話率:65%
詩に寄り添いて語呂合わせ
為せば成る為さねば成らぬ何事も!
最終更新:2018-11-30 17:31:31
182文字
会話率:0%
フェリシアはある日自分が王太子エリアルドの筆頭の婚約者候補だと知らされる。嫌だと叫ぶフェリシアだが、大人たちに諭され受け入れることを決意する。やがて、仕組まれた自然な出会いを経てエリアルドと交流を深めていく。王宮へ花嫁修業に入ったフェリシア
は責任の重圧に苦しむ。そんなフェリシアを慰める黒騎士が現れて、彼に仄かにやすらぎを覚える。次第に黒騎士に心を開いていくフェリシアだが…。着実に妃への道は止めようもなく進んでいく…
※2016年12月に1度完結しましたが、2017年5月、エリアルド視点を追加させて頂きました!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-18 09:25:15
134594文字
会話率:50%
還暦を迎えた佐藤公子さんは、黒いネコに唆されて異世界へ転移します。でも、行った先は、公子さんの想像と違って昭和の商店街でした。そこで18歳の娘に戻った公子さんは、二度目の青春を楽しみます。元の世界へ帰るには、あの黒いネコとそっくりなネコに頼
まなければならないのですが、なかなか会えません。そうこうしているうちに、公子さんと同じように黒いネコに騙されて異世界へやって来た人々と知り合い、みんなで元の世界へ帰るために協力してネコを探すことのなります。公子さんたちは、無事に元の世界へ帰ることができるでしょうか。異世界へ来た面々のに年齢が、バラバラなのに何故か同じ年頃になっていて、仄かな恋をしたり、ロリを警戒したりと、最年長の公子さんは、気が休まるときがありません。こっちに来てまで、主婦せなならんなんて、どうよ?公子さんは、やけくそです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-10-12 22:08:01
107643文字
会話率:27%
警察の役割を果たす機関に所属する少女ハルカ。
人狼、吸血鬼といった様々な種族が事件を起こす世界で、圧倒的に不利な立場にある人間であるハルカがその機関に居続けるのには理由があった。
──少女と、かつて彼女の手を離した混血吸血鬼の話
最終更新:2018-09-02 22:07:28
227233文字
会話率:30%
ワズリアン王国の王女アミアは侍女の悲鳴で目を覚ます。「白蜥蜴の呪い」をかけられたアミアは、呪いを解くため旅に出る。同行するのは叔父と、アミアに仄かな想いをいただく青年。ぎこちなく旅を続ける一行を襲う者たちは?恋愛要素ありのファンタジー小説で
す。「月餅企画」作品です。ツギクルとPIXIVでも掲載してます。**本編は2014年9月に投稿したものをほぼ同じ内容です。番外編は2018年7月27日から投稿。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-27 12:38:36
43133文字
会話率:34%
二十八歳のアラサー、彼氏なし。
自分は平凡? 平凡以下の容姿なのに、どうも私はイケメン好き。
だから彼氏ができないのはわかっているんだけど。
久々に会った彼はやっぱりどうしようもない女たらしのイケメン。私の新しい恋をショタなどと失礼なこと
ばかり言う。極めつけに、彼は今日も色気を振りまき、冗談交じりに私を誘う。
誘いにのったら、それで友情は終わり。
だから、私は彼への仄かな想いを隠して、今日も誘いを断る。
*ムーンライトノベルズに掲載していた話を修正して投稿しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-27 13:43:15
88561文字
会話率:35%
齋藤涼子と幼馴染の横原類は、彼女に仄かな恋心を抱いている
そんな、彼女とは長い付き合いだが、一歩踏み出せない
二人の輝きの中での、恋愛物語
この作品はpixivにも投稿しています
https://www.pixiv.net/novel/s
how.php?id=9901528
pixivには、主に二次創作が多いです折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-26 21:12:50
3099文字
会話率:44%
主人公の佐藤薫は同性愛者の男性で、失恋をきっかけに会社を辞めて、友人のきよ香のカフェで働きはじめる。
きよ香はむかし、恋に悩んでいたときにスウェーデンでオーロラを見て、その美しさに感動し、人生を達観した。帰国後、苦しい恋を終わらせて、カフ
ェを開くことに尽力するようになり、三十歳の誕生日に自らのカフェ、カフェ・オーロラを開店するようになったのだ。
そのカフェ・オーロラに、佐藤の失恋相手の田中が来るようになった。
佐藤は大学生のころに付き合っていた恋人との別れや、同性愛者である自分が家族に受け入れられなかったことなどがトラウマになっていて、人を好きになることに憶病になっていた。田中はそんな佐藤に頓着せず、友人として付き合おうとする。佐藤は、田中と友人にも恋人にもなれないことで悩む。
そんな佐藤はスウェーデン人の知人に勧められて、しばらくスウェーデンに滞在することになった。そこで鮮やかなオーロラを見て、人生観が変わる。
そしてスウェーデンで運命の人と出会い、佐藤はスウェーデンに永住することを決めた。
二年後、佐藤と田中は、電車の中で偶然に再会する。佐藤は自らの近況と、同性愛者の自分に対して友情を示してくれた田中に感謝の意を述べる。
田中は二年前に、佐藤に対して仄かな想いを抱いていたことを思い出すが、誰にも告げずに、自分の心の中にしまっておき、それぞれの道を歩こうと思う。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-27 00:26:00
33185文字
会話率:38%
私は確かに彼女と再会した。
人生の孤独に苛まれていた私は、ある切っ掛けから一人の女性と交際を始めた。彼女の美貌と優しい笑み、そして快活な性格は私にとって暗闇の中で与えられた一つの灯火の様であった。
しかし、そんな彼女が外国で消息を
絶ってしまう。八方手を尽くしたにも関わらず、彼女の行方は杳として判らず、彼女を失いたく無かった私は居ても立ってもいられなくなり、遂に単身彼女を探す旅に出た。
そしてある街で彼女の消息を知っていると言う謎の男に導かれて、遂に私は彼女と再開を果たした。夢か幻覚でも見たのではないかと言う人もいる。だが、あの地下室で仄かな灯火に照らし出された顔は間違いなく彼女だった。
彼女は……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-09 22:09:37
11526文字
会話率:21%
畳の目ほどずつ「日脚伸ぶ」
きのうは大雪で春など来ないような陽気でも、今日は春のような暖かさで嬉しかったです。
最終更新:2018-01-25 16:12:04
213文字
会話率:0%
【短編 No.9】
子供の頃から通い慣れた小道は、月が細い夜でも迷わない。
誰も住まなくなった廃屋をぐるりと回り込んで、広葉樹のトンネルを抜けた先。
唐突に開けた視界一面に広がる、遠浅のなだらかな砂浜。さらにその向こうには仄かな碧に揺
れる夕刻の海。
そこで君と出会って、別れて……
夕凪の海、二人の物語。
――――――
初出はエブリスタ。
三行から参加できる超・妄想コンテスト「海」優秀作品です。
2017.6.5 初掲載折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-18 18:00:00
5668文字
会話率:70%
母を求める幼子の様子を描いた作品になります。
※過去作品で、他サイトさまで書いていたものです。
最終更新:2017-11-06 16:39:40
223文字
会話率:0%
仄かにただよう、謎の香り。
最終更新:2017-06-13 05:00:00
491文字
会話率:0%
不治の病から救われる為の唯一の手段。
その代償は限りなく小さいはずだった。
最終更新:2017-05-15 00:22:47
1150文字
会話率:35%
薄暗い談話室の中で1人の男が新聞を読んでいた。揺らめく暖炉の火が彼の眼鏡のなかで揺らめいている。
そんな中、ドアを叩く音が響く。
「社長、宜しいでしょうか?」
「入りたまえ」
若い黒髪の青年が異質な空気が流れる空間に入ってきた。
彼の手
には社長と呼ばれた男が持っている物と同じ新聞が握られていた。
「社長もお気付きだと思いますが、今回の貨物船強奪事件はやはりあのマフィアが絡んでそうです。確かな筋からの情報を得ました」
そう強い口調で言う若者に社長はこう諭した。
「物事を一つの視点だけで判断すると大事な何かを見失ってしまう。色々な視点から答えを導き出さないといけない」
青年は自分の主張の甘さを実感したのか持ってきた新聞を握りつぶしながら、お辞儀をして部屋を後にした。
残った社長と呼ばれた男はテーブルのにあるコーヒーを手にして少し口に含むと目を閉じてこう呟いた。
「この事件の真相とやらを少し考察するとしようか。まず初めに……」
暖炉の仄かな熱と多くの本の背表紙の視線がある中、男は底の深い世界へと入っていったのだった。
稚拙な文書ですが読んでいただけたら幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-11 00:45:24
4878文字
会話率:22%
雨が降っていた。レースのカーテンの向こうから、曇りの淡い光が室内に入る。雨音が響く。雨が屋根を響く音だ。単調に、時おりまばらな音を響かせて。窓枠の中だけが、発光しているかのように明るく思われた。陰鬱な雨の日だった。
ふと、視界が転がって、窓
からの薄暗い光に照らされる兄を見た。私はベッドに転がっているから、照らされない。きっと兄は、正面から見たら切り抜かれた影のように見えるのだろう。
私をベッドに押し倒した兄の頬に触れる。この汚れは、兄にもきっと伝わっている。そう考えることだけが救いだ。
誘うように、兄の胸元を弄んだ。兄は、どこか昏い瞳で私を見つめた。
横髪と頬をなぞっていた唇が、徐に私の瞼に触れた。私は素直に瞼を閉じた。視界が闇に包まれて、雨音が嫌に響く。
兄も、身を屈めたせいで仄かな光に触れなくなった。私の唇に、兄の同じものが触れ合わされた。しがみつくようなキスに応えながら、私は汚れてしまったと今更のように思った。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-22 23:37:37
12561文字
会話率:30%
【あらすじ】
――友チョコじゃない、かも…。
私が好きになったのは人気者のクラスメイトじゃなくて、サッカー部のエースでもなくて。
いつも教室の隅っこで本を読んでいる、愛想のない君でした。
ため息が、出てしまうね――。
クリ
エイター“うさブルー”によるボーカロイドオリジナルジャズソング『Sigh=3ψ4』のタイアップ小説。2017年2月14日、ニコニコ動画、YoutubeよりメッセージMVが公開。同日、LINEMUSICとiTunesより配信開始。
ワルツとマーチを合わせたような独特なリズムと、冬に感じられる仄かな温かさを纏った雰囲気のジャズとなっている。ほぼ全編がキーボードのジャズアドリブで構成され、儚い恋心と積もってゆく雪を対照的に描写している。
作曲・著=うさブルー[@usa_belu]
イラスト=まふゆ[@1kurusk]
演奏協力=くろ鐘[@belus_belu]
℗Presented by Love It's Blue
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-03-06 16:00:00
7369文字
会話率:33%
私より妹が愛されたこの世界で、唯一私を見てくれた人がいた。婚約者であるその人は私を「愛している」と、そう言ってくれたが、ある日突然事故に遭い、記憶に異常が出た。
人間関係について混乱してしまった彼に、妹を可愛がる両親は嘘を伝える。妹が貴
方の婚約者なのだと。
なら、もう、いい。妹が愛されたこの世界で、私ばかり見ていた彼が変だったのだ。それならば私はこの現実を受け入れよう。
そうすることで家族がシアワセでいてくれるなら。
※完結済みです
※ランキングに載ることが出来ました。ありがとうございます!
※アルファポリス様でも掲載しております
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-14 19:00:00
45716文字
会話率:33%
ある日、成実が出会った不思議な存在の朧と蓮太郎という名前の狐は、稲荷神社を守る妖狐。口の悪いにぎやかな朧と、少し気の弱い穏やかな蓮太郎という二人(いや二匹?)と人間の女の子のお話です。最初は初めて見る不思議な存在に、どうすればいいか分からな
い成実ですが、狐たちの人となりを知っていくうちに仲が深まります。仄かな感情が生まれ、互いのことを理解すれば葛藤も生まれてきて、じれじれでお話は進んでいきます。ですが、のんびりのほほんなお話を目指しているつもりです。2017.2月完結しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-11 19:30:03
197041文字
会話率:46%