こんな時間に目が覚めてしまいました。
真夜中だと言うのに、突然、磯ひよどりの清流のように澄んだ鳴き声が、開け放したままの東の窓から聞えてきたせいでしょうか。
それとも、薄いレースのカーテンが、風に揺れて私の腕をそろりと撫でていったせいで
しょうか。
その感触を追うように、むきだしのニの腕に手を当ててみると、いつの間にかすっかり冷えきっていたようで、血の気の失せた日影の石のような冷たさに、不意に子供のころ過ごしていた、小さなわびしい村での出来事を思い出してしまいました。
八月の、夏休みも程なく終わる頃、緑に澱む、暗い沼での出来事を。
……もしあなたも眠れないのであれば、少し……私の話にお付き合いいただけますか?
長い話ではないのです。夜が明ける前には終わってしまう。
そんな程度の話です。
※他サイトにて重複投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-23 20:05:55
32245文字
会話率:6%
「君は死にました。というか、このイブリス様が殺したのです」
突如として死んだ、うだつの上がらない会社員“広瀬浩之”に衝撃的なことを宣言するのは、自称異世界の神様という少女“イブリス”。
どういう流れか広瀬はイブリスの信仰の守護者とな
り、異世界で神の座を追われた彼女を再び神の座に戻し、信仰を取り戻すことになってしまった。
だが、この神様、とんでもない問題児だったのだ……。
*手軽に読める異世界コメディーです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-26 20:11:16
56336文字
会話率:49%
不思議ね、偶然が続くね。
思いもよらぬ出会いとはこのことで。
私はあなたに出会って嘆くことを覚えた。
聞かせてよ、あなたの声を。
通う血の気、濡れた指、千切れてはためく髪。
ほら、空中に舞う、舞って、舞い上がる、果てしなく。
世
界は朧。
夢とは空気満ちる裏庭。
あなたに出会えてよかったとは言わないけれど、可能性がチカリと煌めいた。
愚かになった私はいつか、この小さな窓から跳び立つつもり。
私はあなたに出会って嘆くことを覚えた。
斑な祈り、キャリコ繚乱。
業火紅蓮少女ブラフ、先天的後継者の祈り。
少女と少年の話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-16 21:38:58
52394文字
会話率:32%
周囲を高い塀に囲まれた施設から男が二人、よろばうように吐き出されると通りかかった警官を呼び止めた。
平日の昼下がり、男たちは青ざめた顔を見合わそうとせず、しかし差し向かえで酒を浴びるようにあおり続けた。
吉報は事前に伝わってくるものだ。が
、凶報は突然もたらされる。
日常業務に就こうとした拘置所長は、一通の封書に違和感をおぼえた。
スーッと血の気がひくのを感じながら幹部を呼び集め、皆が見守る中で開封してみると、法務大臣名の書類、死刑執行命令書だった。
法の命ずるところにより、図らずも人名を奪う役目を担う人々の苦悩、慟哭をまとめてみました。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-27 10:15:30
15159文字
会話率:30%
御影瑞季はただの高校生である。髪は長めで少し暗がりで見ると女子に間違えられる姿形と名前をもつが他は平均的男子高校生だ。不良高校に通うのだから血の気が多いしケンカも強い部類に入るだろうが本質はただの無鉄砲なガキでしかない。これはそんな俗にバ
カと呼ばれる者の話になる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-15 13:05:33
6141文字
会話率:58%
いつもの帰り道、たまたま立ち寄ったアンティークの店で小物入れを買ったあおい。帰宅してみると、空っぽだったはずの小物入れに何かいる。恐る恐る開けると、中から小人が現れた。けれど、小人は敵意剥き出し。2人はしばらく睨み合うが、あおいは小人が怪
我をしている事に気付く。血の気の多い小人に、傷の手当てをする事にした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-06 22:38:40
19478文字
会話率:36%
異世界《イザベラール》に勇者として召喚された二人の少年、《希一真一郎》と《高魔凪》。
その世界の巫女から魔王を倒して欲しいと頼まれる。
真一郎はそれを承諾するが、凪は違ったものだった。
「は?嫌に決まってんだろ。バーカ」
その言葉を聞いて皆が固まった。
自由奔放、血の気多数の凪が異世界で暴れまわるお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-03-27 22:21:58
8075文字
会話率:31%
【末代まで祟ってやる】
血の気のない青白い顔に両目は死んだ魚のように濁っていて、着ている白い長襦袢は泥で汚れている。
僕にしか見えない彼女は、僕にしか聞こえない声で今日も呪詛を吐く。
僕は彼女の事をレイ子さんと呼んでいる。幽霊のレイ
子さん。
レイ子さんは僕にとり憑いている怨霊なのだけど、ちょっと変わっている。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-04-27 14:10:37
6958文字
会話率:23%
泣き虫な蝉と食いしん坊で血の気の盛んな蚊。
憎らしくもどことなく愛おしい彼らは、どちらも夏の主人公。
最終更新:2012-08-04 00:12:05
921文字
会話率:56%
いつの間にか、空は黒に落ちていた。まるで、星の消えた宇宙のような暗闇が窓の外に広がっていた。そこには何もかもが存在し、また何もかもがなかった。その闇に潜んでいるものがいるとすれば、そいつは何を望んでいるのだろうか。
舞の顔からは血の気が
失せ、白というよりはそのまま霞んで消えてしまいそうな色をしていた。舞の後ろに拡がる漆黒とその色の不思議なコントラストが僕を我に返らせた。
「ごめん」と言い、僕は舞の手首を放した。
舞は放心したかのように、血に染まった包帯を見つめていた。まるで、今まで生きていると思っていた友達が、実はぬいぐるみだと気付いた子供のように。
僕がナースコールに手を伸ばそうとすると、舞がその腕にそっと触れた。
舞は造形美を目的に作られたような、ぞっとするほど優しい笑顔を顔に張り付け、綺麗な涙を一滴、僕の腕に落とした。その涙はまるで生きているみたいに僕の体に入ってきた。
僕も舞と同じように、涙を流すという行為をしたかった。でも、僕に涙を流す資格は無いらしい。たまらなく悲しく、空しいのに涙は一滴も流れてくれなかった。
<本文より>折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-11-06 03:06:14
12881文字
会話率:7%