「ここじゃないどこかに行けますように」
毎日のように家の近所にある高神神社でそう願い事をする少女、ひなはわずか9歳にして不遇な人生を送っていた。
彼女が生まれてすぐに行方を眩ませた母と、その母を探して世界中を飛び回る父。
両親はただの一度も
、ひなに連絡を寄こしたことが無かった。
そしてそのひなを預かることになった父の両親は、ひなが5歳になる頃から彼女を疎ましく思うようになっていた。
ひなには人には見えない物が視える、不思議な能力があった。それもただの幽霊と言う類ではなくいわば妖怪と呼ばれるものだった。
成長するにしたがってハッキリとその存在を視れるようになったことで、次第に友人や祖父母から気味悪がられるようになり、やがて孤立してしまう。
家に帰っても学校に行っても、誰も自分の傍にいてくれる人がいない事で、ひなは「ここじゃないどこかに行けますように」と神社で願うようになった。
「ここじゃない場所って言っても、施設には行きたくない。だって……どうせ施設に行ったってひなが色んなものが視えるって分かったら、結局みんな気味悪がって離れてっちゃうんだもん。だったら、一人の方がいい……」
だが、今の生活をしていればいずれ行政の人間が情報を聞きつけ、施設に入れるために連れに来るに違いない。
それが今のひなには一番怖い事だった。
そんなある日の夜、通い続けていた神社に不思議な光が下りた事を見かけた。そしてその夜に突如訪ねてきた警察に恐怖を覚えた。
施設に連れて行かれちゃう。
ひなは暗い夜道を危険だと分かっていながら、家から飛び出して神社への道を急いだ。
神社に辿り着いたひなの目に映ったのは、頭から二つの角を生やし、金色とも黄緑ともつかない肩までの髪と、尻尾のように長い朱色に染まった髪を持った一人の男性だった。
「お願い、ここじゃないどこかに連れてって」
彼は自分をどこかへ連れて行ってくれると確信したひなはそう願い出た。
神獣でもある麒麟と彼の神使でもある八咫烏、そしてひなの物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-15 16:10:51
150319文字
会話率:46%
公爵令嬢のリリエールには、氷の王太子殿下と評されるほど笑わない婚約者のエドワードがいる。彼は社交の場であろうと愛想笑いすらせず、相手が誰であろうと笑わない男性だった。しかしリリエールはある日、彼が微笑んでいる姿を目撃してしまう。リリエールは
悔しさのあまりハンカチを噛みしめて誓った。「あの泥棒猫! わたしだってエドを笑わせて見せるわ!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-15 08:02:42
11212文字
会話率:42%
東條 まつりは、東京で芸能人として活躍している。
モデル活動を中心に、インスタグラマー・セルフブランドの経営・俳優など、マルチに仕事をこなす。
充実する毎日だが、寂しさも感じていた。信頼出来る人が傍に居て欲しいと思っていた。
そんな
ある日、まつりはSNSであるアカウントを見つける。そのアカウントは、いつもまつりの発信にコメントをしてくれていた。
まつりは、その相手がどんな人なのか興味を抱いた。彼は作家を志望する年上の男性だった。
そんな折、大阪でトークショーが開催された。そこでアカウントの男性と出会い、2人の距離はどんどん近付いていくーー。
(純文学の賞に応募した作品です。大人の恋愛ですが、少女漫画っぽくもあります。この作品を読んで、あなたの大切な人を思い出して貰えれば嬉しいです)折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-12-06 19:10:14
98730文字
会話率:38%
「きみを悪役令嬢と見込んで、頼みがある!!」
伯爵家の娘であるアイラに突然頭を下げて来たのは、これまで社交界で見かけたことのない美しい男性だった。
彼が探しているのは悪役令嬢と名高い公爵家の娘。
人違いだと謝る彼を助けるために、アイラは今夜
のパートナーになることを提案する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-02 06:50:00
7620文字
会話率:42%
サッカーに商業価値を見出した日本政府は、サッカー界を代表する英雄たちの遺伝子から選手を創り出す計画、通称プロジェクトGを極秘に遂行していた──。
全国に散らばる英雄たちの遺伝子《スキル》を受け継ぐ人間。覚醒した遺伝子保持者は、遺伝
子《スキル》に応じた能力を英雄さながらに発揮することができる。
優駿高校に入学した不良少年、有馬堅太郎は、サッカー部のマネージャー細江かなえに一目惚れし、初心者であるにもかかわらず、かなえ目当てにサッカー部に入部する。地道な練習や試合を通じて才能を急速に開花させるが、かなえの片想いの相手がサッカー部二年、武遼平だと知りライバル心を燃やしていた。
一方で政府が運営するプロジェクトチームは、順調に成長する遺伝子保持者たちを遠巻きから見守っていた。プロジェクトは、遺伝因子を掛け合わせることで、より優秀な選手を誕生させることが目的だと思われていたが、その全貌は、競走馬の配合理論に基づき『奇跡の血量』を持った選手を創り出すことだった。
※奇跡の血量とは、インブリード3×4と呼ばれる遺伝の影響が色濃く出る配合理論で、交配相手の曽祖父母(ひいじいさん、ひいばあさん)と、高祖父母(ひいひいじいさん、ひいひいばあさん)が同一人物であることが発動条件になる。
一九五六年、日本政府はのちにサッカーの神様と呼ばれるブラジル人『ゲレ』の遺伝子を極秘に入手していた。ゲレの遺伝子『創造主』から配合を繰り返し『ゲレ』のインブリードを持つ選手を誕生させることが目的だった。
Gキャリアーと呼ばれる『創造主』の遺伝子保持者たち。
政府からプロジェクトを任された三ヶ日コンツェルンの御曹司、三ヶ日静は『創造主』を曽祖父に持つ男性だった。そして、交配相手として選ばれたのが『創造主』を高祖父に持つ女性、優駿高校サッカー部のマネージャー細江かなえだった。
その陰謀を阻止するために有馬堅太郎は、ワールドカップ優勝を条件に、かなえを懸けて三ヶ日静と戦うことになる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-30 14:22:33
42635文字
会話率:33%
金井美奈子は29歳。喫茶店の店長代理として忙しい毎日を過ごしている。
仕事は忙しく、プライベートな時間は殆どない。
美奈子には書道教室の先生になりたいという、小学生の頃からの夢があった。喫茶店の仕事が早上がりできる土曜の午後は、書道の師
匠が開いている教室で子供の指導をしつつ、毛筆書写検定一級に合格する為の勉強を続けていた。
ある日、お店を閉めた後、スタッフを車で自宅に送る途中で、事故を起こしてしまった。その時に助けてくれたのは、体格の良い無精髭の一見すると取っ付き難い熊ような風貌の男性だった。
男性は事故のショックで茫然としている美奈子に代わって、二重事故防止の処置や警察への通報の手助けをしてくれたが、パトカーの姿が見えると、美奈子が礼をする間もなく、名乗らないまま走り去ってしまった。
その後、男性が乗っていた車の特徴によく似たジープ(四輪駆動車)が見つかり、熊のような男性が近くにある運送会社のドライバーである事が判った。美奈子はお礼のクッキーとコーヒー回数券を持ってお礼に行き、それがきっかけで週に一度、お店で三十分くらい話すだけという淡い交流が始まった。
お互いに惹かれあう二人。でも、男性はとある事情を抱えており、美奈子も過去の辛い経験から恋愛には積極的になれず...
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-08 13:23:46
8142文字
会話率:11%
龍人族には掟がある。
里内で血が濃くなりすぎないよう、若者を旅に出し、結婚相手を見つけさせる「求婚の旅」という掟が。
「元男だぞ!俺は!」
前世が日本人男性だったにも関わらず、龍人族の娘として生まれ変わった元男エアリーは、不本意ながらこ
の掟によって旅に出されてしまう。
彼女は無事に結婚相手を見つけるのだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-13 21:39:54
8819文字
会話率:48%
鎌倉の墓苑(ぼえん)で働く「私」のもとへ、学生時代からの男友達「佐々木海(ささきうみ)」が、見学者としてやって来る。
事前に予約をしてきたのは年配の男性だったことで、まさかまだ若い自分の友人が来るとは思わず驚く私。
同姓で、年上の恋人がい
ると、以前海が話していたことを思い出しながら、急に現れた海と一緒に、私は晴れた海沿いの墓の中を歩いていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-09 18:27:14
5597文字
会話率:35%
時は現代、人を唆し、悪事を引き起こす悪魔が未だ蔓延る世界。情報の複雑化により引き起こされる様々な欲望に悪魔は力をつけた。そんな悪魔と対峙するは【祈祷師】
その者達は祈りを捧げる事によって神聖の力を得て悪魔を祓う。現代においては様々なネット
ワーク技術を駆使して日々悪魔を追う。
彼等の争いは時代が経つにつれて激しくなり、またその被害も大きくなっていた。しかし、いつも終わる気配はなく永遠の拮抗状態だった。
そんな時、あるイレギュラーが現れる。
突如出現したその人間は悪魔、だけでなく祈祷師をも殺していく。通称【神秘狩り】その正体はたった一人の一般的な男性だった。
名はガイハイという。
彼の目的は"祈祷師、悪魔、その他諸々の神秘と神聖を消す"ことである。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-17 20:28:28
10289文字
会話率:41%
シャーロットの向かいに座るのは、明日結婚する初対面の男性だった。
婚約破棄や離縁もなければ、ざまぁもない。
ちょっぴり「因果応報」と「自業自得」だけがある、のほほんとした夫婦の短編です。
最終更新:2024-09-16 19:21:16
11192文字
会話率:25%
食品製造メーカーで勤務する愛美は会社で小さな不満はあるものの仕事には満足している。係長の恩田や先輩の真中、後輩の奈南と増井たちもいい人ばかりだ。
愛美は仕事は順調だが、恋愛の方はあまりうまくいっていない。 愛美は思いきって結婚相談所に登録
をした。
結婚相談所に登録してすぐに時田という中学教師の男性を紹介された。 時田はがっちりした体格で優しい男性だった。 時田は愛美をすぐに気に入ったようで積極的だったが、愛美は決めかねていた。
その後、愛美の周りで不審なことが起こりはじめる。 帰り道に誰かに後をつけられたり、変な手紙がポストに入っていたり、イタズラ電話もかかってくる。
そして同じような手紙が後輩の奈南にも届いていると相談されて愛美は言葉を失う。
一体、誰の仕業なのか。
最後に驚愕の真実が判明する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-11 09:33:53
47128文字
会話率:49%
あ。また死んだ。何回目だっけ……。
30代の日本人男性だったおっさんが、ほとんど知らないゲームの世界を模した異世界に救国聖女の主人公「シェーディナ=エンジェルハイロゥ・ヴァローツァ」として転生する。
知らないなりに奮闘しているシェーディ
ナだが、彼女はバッドエンドを迎えると、転生に気付いた開始時点まで時間を巻き戻されてしまっていて、いつまでも終わることができていなかった。
やがて、何度も何度もハッピーエンドを目指す中で、今までの経験を踏まえたルートを進んでいった。
すると、意外な結末へと物語は進んでいくのであった。
※コメディです。悪役令嬢のジャンルをよく知らない作者が書いてみた悪役令嬢の設定を使ったコメディ『黒い茨の悪役令嬢 ~もしも30代のおっさんが全然知らない乙女ゲームを模した異世界の悪役令嬢に転生したら~』の「対」となる作品をお楽しみください。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-06 06:40:00
5226文字
会話率:27%
あ。また死んだ。何回目だっけ……。
30代の日本人男性だったおっさんが、ほとんど知らないゲームの世界を模した異世界に悪役令嬢「レイティア=ブラックソーンズ・オルレアニティ」として転生する。
知らないなりに奮闘しているレイティアだが、彼女
はバッドエンドを迎えると、転生した時点まで時間を巻き戻されてしまっていて、いつまで終わることができていなかった。
やがて、何度も何度もハッピーエンドを目指す中で、今まで取っていなかった選択肢を取っていくことになる。
※コメディです。悪役令嬢のジャンルをよく知らない作者が書いてみた悪役令嬢の設定を使ったコメディをお楽しみください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-02 06:40:00
5505文字
会話率:24%
玉川上水の緑道で女性の首つり死体が発見される。吉川線があったことから自殺他殺の両面での捜査が始まる。捜査は所轄の武蔵大和署刑事課強行班係が担当する。
強行班係には鮫島ゆきという女性警官がいた。彼女は半年前に何者かに階段から突き落とされると
いうけがで休職し、ちょうど遺体発見の日に復職となった。階段で突き落とした犯人はいまだわかっていない。
この鮫島はジークンドーというマーシャルアーツ系の最強の格闘技に取り組んでおり、まさに最強の刑事だった。このジークンドーは、かのブルースリーが提唱した武道で現在でも最強ではないかと噂されている。(事実です。)
そして鮫島にジークンドーを指導しているのが、階段落下事件で彼女と知り合った中田晴彦という初老の男性だった。鮫島は中学生の時にシングルマザーの母親を殺され、その時から、力こそ正義であると思い込み、以来、格闘技にのめりこんでいる。そして指導してくれている中田に父親像をダブらせて愛情を感じていた。また中田も鮫島を娘のように感じていた。
遺体女性は大船在住の長谷川千尋と判明する。しかし、なぜ、玉川上水まで来て死んだのかが謎となる。強行班係の面々が捜査を続けていく。さらにそれに本庁から研修できている若手刑事の黒瀬翔が加わる
はたして事件の真相には何があるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-16 13:47:38
55006文字
会話率:57%
「よく来たね、勇者くん」
大きな机の後ろで、椅子が回転する。そこに座っていたのは魔王...いや、高級スーツに身を包んだ中年の男性だった。
「僕は...魔王を倒しに来たんです」タカシは躊躇いがちに言う。
男性は微笑む。「そう、物語通りにね。で
も、ここでは私はCEOさ」
「CEO?魔王企業の?」
男性は軽く笑う。「魔王企業。悪くない響きだ。でも違うんだ。この物語全体のCEOさ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-31 13:55:19
7758文字
会話率:26%
紅茶好きが集まる静かな喫茶店テ・ガゼボ。
そこの店長は若い異世界人男性だった。
謎に惹かれるその店の外見といい香りにつられてくるのは、少し変わった人達。
彼の紅茶を広める少し大変そうな異世界生活が、始めるようだ。
美味しい紅茶の匂いに惹か
れて、いらっしゃいませ。貴方好みの一杯を、お出ししますよ?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-17 20:00:00
64610文字
会話率:43%
琉生(るい)がお風呂から上がると、目の前に知らない男がいた。どうやら異世界から迷い込んだらしい。そこから、迷い込んだ男、ギルバートとの奇妙な生活が始まった。
数か月後にはギルバートが元いた世界へ戻れることになったのだが、その際、琉生は巻き
込まれて彼と一緒に異世界へ。しかも、向こうの都合で性別が男から女に変わってしまった。嘘でしょう。
「責任はとる。結婚しよう」
「いや真面目か」
掃除の侍女として逞しく生きる琉生と、大がつくほど真面目なギルバートの、ほのぼのしたり共闘したりする物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-05 16:01:15
12788文字
会話率:46%
一九九×年。赤城日菜は小さい頃、家族とショッピングモールに出かけると兄とよくゲームセンターに通っていた。そのゲームセンターであるゲームに人集りができている。そのゲームをやっているのは「氷帝」と異名を持つ大学生くらいの男性だった。
※この
物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ノベルアップ+様でも公開していますが、少し改稿しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-30 23:42:49
10055文字
会話率:52%
「わぁぁぁ……ルキーノ様、今日も素敵! 拝みたい!」
新米・革職人のライラには、イチオシの騎士がいる。
彼は妖精のように美しい男性だった。
彼とライラの関係は客と職人。それなのに、彼はライラにとびきり優しくしてくれる。
同じ革職人だっ
た母を亡くし、叔父の家に引き取れ、家に居場所がなかったライラは彼をますます好きになっていったのだが、彼も同じ気持ちのようで。
「あなたの真っ直ぐな心が、俺は好きなんです」
彼はライラに言えない秘密を抱えていた。
一人前の職人になりたい16歳の少女と、彼女のために裏で必死だった17歳の少年のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-20 13:56:52
62022文字
会話率:36%
「是非とも聖女を我が妃に」
そう言って、教会の扉をたたいたのは第二王子ヴァリス。
彼は、幼いころに自分を助けてくれた聖女を妻に迎えたいと言って、花束を差し出した。
その知らせに花束を受け取った聖女カミラだけでなく、教会の人々も喜びの
声を上げた。
ただ一人、教会の奥深くで隠すように育てられた聖女アリシアだけを除いて。
そうしてもう用済みだと捨てられたアリシアを拾ったのは、デュクロ公爵――第一王子の後見を担っている男性だった。
※他のサイトでも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-15 22:35:56
92309文字
会話率:27%
引きこもりの「僕」は自分の性癖に悩んでいた。彼の性的指向は男性だったのだ。
ある日、秘密にしていた日記を学園の女王、マリに盗まれ、そこに書かれてあった暗号を解読されクラスのみんなの前で発表されてしまう。
学校に行けなくなった「僕」は作業所に
通うようになったが、そこでもサイコ少女マリの嫌がらせに会う。
そしてマリをきっかけに「僕」の恋人は自殺に追いやられてしまった。
恋人の死を前に、僕は暗号少女マリへの復讐を誓った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-12 13:32:56
1472文字
会話率:2%