二人の若者が金もうけのために「善人アプリ」を作った。スマホのカメラを人の顔にあてると100点満点で点数が表示される、といういたって他愛のないものだった。かれらも酒の席での余興に使われることを想定していた。アプリが世に出ると、スーパー善人の
老人が県知事から表彰されるなど、楽しく使われた。しかし、そのうち善人アプリが独り歩きをし始め、企業の採用試験の足切に使われるようになるなど、負の側面が顕著になっていった。そして、ついに殺人まで起こった。さらには、100点満点の男が登場することによって、宗教騒動にまで発展していった。「善人アプリ」が引き起こしたドタバタが描かれている。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-24 00:00:00
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会話率:95%
東京駅の地下で友だちと待合せをしている男がいる。夕方6時に待合せしていた。友だちのナインと男は同じ大学を20年前に卒業したが、5年ごとに会っていた。男にはナインと会ってもかれがわかるかどうか一抹の不安があった。ナインは会うたびに極端に痩せ
たり太ったりを繰り返し、毎回容貌が変わっていたからだ。ナインはなかなかこなかった。男は待っている間、他人をナインと勘違いし、勝手な妄想を働かせて、ナインをひたすら待ち続けた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-15 00:00:00
26532文字
会話率:38%