昭和十六年十二月八日、日本海軍がハワイ・真珠湾に奇襲攻撃を仕掛けた事により、太平洋戦争が勃発した。
旗艦『赤城』以下、六隻の空母による戦果が注目されるハワイ作戦。しかし、その裏では一隻の客船が奇襲成功のために行動していた。
日本船をハ
ワイ近くに航行させる事で、敵の油断を誘う――そのような意図で計画された囮作戦に白羽の矢を立てられたのは、在米邦人の引揚船として米国に向かう日本郵船の客船『龍田丸』だった。
囮の効果を最大にするため、『龍田丸』には何も伝えられないまま作戦は進められる。自身を囲む状況を知らぬまま、『龍田丸』は戦前最後の航海に就く……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-12-08 21:13:41
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