強大な帝国と、自国の奸臣たる宰相に裏切られた辺境伯の跡取り息子の奮闘を、年老いた武人フォスターと幼い子供アベリハルの視点で物語は綴られていきます。
帝国周辺の状況は殺伐としていますが、物語の本質は、落ち延びた廃村での生活を主に綴ってい
く事に成りますので、帝国と征服された国々の状況は最小限にとどめますが、関わりがある以上書かない訳には行きません。
それでも廃村での生活がメインである事には変わらないので、ほのぼのとした物語となると思っています。
あらすじとしては、多くは語りませんが、最初は廃村跡にて再起を図るブライアンを補佐しながら、近隣の村の状況と盗賊との関わり、そこを統治している貴族との確執などが中心となっていく事でしょう。
物語の冒頭で語られた古の黒龍との戦闘の火ぶたの続編は、章の終盤辺りを予定しているのでこうご期待です。
取り敢えず、王道のファンタジー物語の開幕のつもりですので気長にお読みいただけると幸いです。
一 止(イチトマル)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-27 19:47:26
10140文字
会話率:16%
七体の龍が守護する国・七龍国(しちりゅうこく)。
その内の一体である青龍の伴侶に選ばれた和華(わか)の身代わりとして、青龍の元に嫁ぐことになった海音(みおん)だったが、輿入れの道中に嫁入り道具を持ち逃げされた挙句、青龍が住まう山中に置き去り
にされてしまう。
日が暮れても輿入れ先に到着しない海音は山中に住まう獣たちの餌食になることを覚悟する。しかしそんな海音を心配して迎えに来てくれたのは、和華を伴侶の望んだ青龍にして、巷では「人嫌いな冷涼者」として有名な蛍流(ほたる)であった。
冷酷無慈悲の噂まである蛍流だったが、怪我を負っていた海音を心配すると、自ら背負って輿入れ先まで運んでくれる。
身代わりがバレないまま話は進んでいき、身代わりの花嫁として役目を達成するという時、喉元に突き付けられたのは海音と和華の入れ替わりを見破った蛍流の刃であった。
「和華ではないな。お前、何者だ?」
疑いの眼差しを向ける蛍流。そんな蛍流に海音は正直に身の内を打つ明けるのだった。
「信じてもらえないかもしれませんが、私は今から三日前、こことは違う世界――『日本』からやって来ました……」
現代日本から転移したという海音を信じる蛍流の誘いでしばらく身を寄せることになるが、生活を共にする中で知るのは、蛍流と先代青龍との師弟関係、蛍流と兄弟同然に育った兄の存在。
そして、蛍流自身の誰にも打ち明けられない秘められた過去と噂の真相。
その過去を知った海音は決意する。
たとえ伴侶になれなくても、蛍流の心を救いたいと。
蛍流が心から笑える日を迎えられるように――。
※アルファポリス、魔法のiらんどなどにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-08 18:20:00
228709文字
会話率:47%