吾輩は吸血鬼である。
自分の正確な名前は忘れた。見た目は若いし気持ちも若いが、何しろ伝説レベルで長い長い時を生きているだ。ちなみに名前以外もあれこれ忘れている。なお、ポンコツであることだけはよく分かっている。出会う人すべてから滅茶苦茶馬鹿
にされるのでね!
そんな吾輩は今、愛しの魔王様の寝室に忍び込んでいて、可愛らしい寝顔をベッドに寝転んで眺めている。今晩は魔王様の誕生日で、吾輩は密かにプレゼントを持ってきたのだ!!
だが、思いがけず魔王様は目覚めて吾輩を取り押さえた!
当然だね! 寝床に侵入するやつは許せないよね!! 怒るよね!!
まぁ、そこまでは受け入れられる。そこから先が良くなかった。
魔王様は償いとして、魔王城で起きている吸血鬼連続殺人事件の解決を吾輩に押し付けたのだ!!
ねぇ! 吾輩も吸血鬼なんだけど!?
吾輩はポンコツ吸血鬼なんだけど!?
荷が重すぎない!?
■□■□■
これは、魔界にその名を轟かすお人好しのポンコツ吸血鬼が、持ち前の陽気さと馬鹿さと、それから隠れた真の力を--何しろ伝説レベルの存在なのでね!--嫌々ながら使って、馬鹿にされながらも難事件に取り組む物語である。
頑張れポンコツ吸血鬼!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-26 23:21:08
81410文字
会話率:37%