詐欺師ではない詐欺師の孝は、たまたま自分が育った施設で自分と同じ境遇に立たされた幼い兄妹を知ってしまう。幼い兄妹に自分の小さい頃を重ね合わせていたのだ。そんな中、幼い兄妹の父親が孝の前に姿を見せる。
幸せを知らずに生きてきた孝には、多
くの親がそうなように幸せが幸せになれくなった一方的な理由を子供に押し付けるような考え方に敵意を抱きながらも幸せな家庭を兄妹のために取り戻そうと奮闘する。
無事に兄妹は以前よりも本物の幸せを取り戻すことができるが、孝も遠い記憶の中に幸せを探し始めてしまっていた。
幸せを知らないことで多くの智恵を知った孝は、幸せに背くような方法で生きてきたが、兄妹の幸せを取り戻そうとしていくうちに、もうあの頃とは真逆な親の立場の自分に気づく。
そしてそれでも幸せに背くような生き方を捨てようとはしない孝も周りの愛によりその方法を捨て、小さい頃の記憶に残っている幸せに素直になる勇気を持ち、自分を捨てた母に会いに行く。
子供の幸せを考える親と親の幸せを願う子供。その幸せは全く性質の違う方法であるが、全く同じ感情から生まれる方法でもある。まるで片想いのように。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-02-24 09:04:50
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