貧富の格差が拡大し、財を持たぬ者の人権は失われた。「ゲーム」と呼ばれた貧民同士のバトルロワイヤルは富豪の間でたちまち人気を博し、プレイヤーに配当を賭けることで莫大な金が動くようになる。「ゲーム」への参加は貧民への義務となり、富裕層の間では
自身の家でプレイヤーを飼うことが嗜みとされた。
そんな中、国際的大手の柳ケ瀬エレクトロニクス株式会社を所有する柳ケ瀬家に生まれた陽人は、その才のなさから両親から見捨てられ、兄からは虐待を受けるほどに嫌われていた。屋敷から出ることを許されず、唯一の趣味であった読書を兄の目に隠れて細々と行い、最低限の貴族としての暮らしを送らされ続けた彼にとある転機が訪れる。
貴族の嗜みの一つである「ゲーム」のプレイヤーを養育する授業が始まったのだ。
その授業で連れてこられたプレイヤーは白髪、紅色の瞳を持ったただの少女であった。講師が指導と称して少女に加える体罰は度を越しており、今まで人の気持ちに無頓着であった陽人の心すらも揺らすほどであった。しかも、その少女の体は、程に柳ケ瀬家の改造を施され、死ねない体となっていた。そのあまりにも残酷な行いに人生で初めて怒りを覚えた陽人は、少女を守ると誓い、講師の指導と兄の言葉を裏切り少女をかばうこととなる。その軽率な行動は兄の逆鱗に触れることとなり、遂に陽人は貴族として生きる権利を失うこととなる。
兄の策略により、陽人はローレンツ家に、「ゲーム」のプレイヤーとして送り込まれることとなる。その家の一人娘のルイーズ=レティシア=ローレンツは陽人に良く接してくれたものの、「ゲーム」のフィールドで味わう死の恐怖から逃れることは叶わなかった。
ローレンツ家に仕えてから数年後。ようやく「ゲーム」での立ち振る舞いや、フィールドの情報を覚え始めたとき。とあるバトルマッチのことだった。不注意により敵のスナイパーに狙撃され、死ぬ寸前。狙撃手の顔が少しだけ見えた。見覚えのある白髪、そして決して世界でも多いとは言えない赤い瞳。柳ケ瀬屋敷での日々がフラッシュバックした瞬間だった。
かつては守ると誓った少女が、今は敵として僕の目の前に立っている。
その少女は僕の正体に気が付くと、酷く悲しそうな顔をしながら、涙を流すのであった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-27 22:29:13
81524文字
会話率:47%
20xx年…近未来。
人と機械が融合する技術が確立。
それと同時に人体の再生技術も飛躍的に進歩した。
まるで体に入れ墨を入れるかのような気軽さで腕を機械に変え、気に入らなければ人の腕に戻す。
機械との融合、その拒絶反応が薄まった時代。
新
人類とも呼べる彼らをマシンマンと呼んだ。
マシンマンの増加に伴い、社会システムや娯楽も彼らに適合するように変化していった。
特に、様々なスポーツ競技にマシンマンの枠が設けられると、参加人数、観戦人数は爆発的に増加。
それまでとは一線を画す莫大な金が動く市場となる。
だが、記録や自分自身と戦うアスリートとは違いマシンマンの意識は別の方向に向かう。
マシンとの融合は力との融合。
自分のマシンが他者よりも優れていると証明したい者。
小さき頃より『それ』にあこがれ続けていた者。
きっかけは違いはすれど『それ』が生み出す莫大な富・名声を求めた。
人類史上最も『格闘』が燃え上がる時代の到来だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-02 01:30:05
284文字
会話率:19%
この時空の結節点である、表裏それぞれのマターとイリバースからなるトリガリア。ウィルオウィスプの囁きの下、五界に違われたマターの分節点のひとつ、ムーンサイド。宇宙史というものが記されるならば欠かせられざるべき両者の実在は、観測事実を旨とする
物理学により立証されることはない。
人類史においては、古くは各地で神話とされる口伝と、近現代ではそれに代わって各種の娯楽物とが、人の魂に影響し続ける両者の存在を浮かび視せている。
21世紀の半ば近くに、台北の気鋭のゲーム会社ゼータスペックと新宿のガジノ運営会社ワコウとが送り出したハイブリッド作「八女剣《やめのつるぎ》」もその一つ。環太平洋的に伝わる神話をモチーフとした本作はコアな格闘ゲーマーたちとそのファン層が、ライトな賭掛事(カジノ)を通じて集い合う場として、世界的な人気作となりつつあった。謎の後輩美少女エミリに誘われ縁を得たユキは、ホログラフィを巧みに駆使する八女剣のプレイヤーとして、頭角を表す。
その頃、多額のお金が動くネットワークゲームとなった八女剣の証憑解析を行っていたチームは、あからさまな不正とはいえない特異値(イレギュラー)をユキを始めとする少数のプレイヤーのログに見出す。統計的に矛盾なくイレギュラーを説明できるのは、未来予知だけ。
そうした特異値を宝石や貴金属等の実物取引(マーケット)にも見い出されていた。そして、米中の軍関係者は、予知と量子計算とを組み合わることで回避を試みるターゲットにも必中する超音速兵器を追い求めていた。
シンクロニシティというべきこれらの出来事は、時間軸を逆行する被覆波が観測されたとの報道後、事態は人々の想定を超える。被覆波は特異値(イレギュラー)を過去へと伝え共進化させる。それが宇宙レベルの事象改変を可能とする魔法体系となりうることをエミリが示し、人類史は不可逆の変容を遂げる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-30 13:56:26
23125文字
会話率:23%
日本の裁判の現実について、
経験したことを、
ちょっと書いてみました。
最終更新:2019-03-27 10:50:39
1526文字
会話率:1%
両親を亡くしてから、幼い兄妹を一人で養ってきた少年はお金に困っていた。
そんなある日、彼はモデルをやっているかつての同級生から「アナザー」と呼ばれる、世界を変容させたもう一つの世界でビジネスをする事を持ちかけられる。
その内容は、アナザー
での冒険の様子などを映像作品として放送したりしながら、巨額の賞金が動くPVP大会の優勝を目指す事。
それぞれの思惑の下、剣と魔法の世界で世界観をぶっちぎってしまった2人の旅が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-13 00:51:56
33997文字
会話率:50%
「20X0年 GAME特別区法案成立」
俗に言う「G特法」が衆参両議会において、賛成多数で可決された。これにより、町とゲーム世界が融合したRCMMO(現実都市大規模多人数オンライン)が展開され、日本各地にゲーム世界と融合したゲームヘブンシ
ティが生まれたのだった。
そんなゲームヘブンシティであるT市は、LBCG(レディバトルカードゲーム)で大成功を収めていた。1日に5万人のビジターを受け入れ、150億円ものお金が動く、そんなこの街でプレーヤーたちがゲームの攻略にしのぎを削っていた。
ひょんなことから、このLBCGのカード女子にされてしまった高校1年生鈴木華(すずきはな)は、レイチェルという名前のレアカードとして、三澤海斗(みさわかいと)という若者の所有カードになってしまう。何とか、元に戻ろうとする華(レイチェル)だったが、所有者(マスター)である海斗もこのゲームに複雑な思いを抱いていたのだった。
そして、このLBCGの本質はプレーヤーもカードもゲーム上の「死」=現実の「死」に直結するデス・ゲームであったのだ。
カードにされてしまったヒロインとワケありの主人公が生き残りをかけて繰り広げるデスゲームファンタジー物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-05-06 10:08:24
88117文字
会話率:35%