1700年代の江戸時代。科学技術が発達し始めが妖(あやかし)がお伽話だと人が考えるようになったころ、都に近い大江山では妖達が結界の中で暮らしていた。
一部の妖の中には人の世に紛れ、人として暮らすものもいる。結界を制している酒呑童子の末裔
、銀童の余命はわずかで大江山では次期頭首の決定が急がれていた。
半妖の銀童の息子で、妖の力をほとんど持たない白童(はくどう)は、大江山の中の悲田院で都から逃れてくる人の子や年寄たちを保護し守ってきた。
彼らを助けたく医術を極めたくも毒消しの焼酎で気を失うほど酒に弱く、女子の肌に触れられないほど奥手で、蘭方医に弟子入りするも破門にされる始末。
だが、もし、同じ鬼の蒼親が主になれば悲田院はつぶされると知り、せめて酒に強くなろうと都の請負酒屋の主人で男装の麗人、数年前に英国貿易船の難破で日本にたどり着いた、恵司郎(けいじろう)(恵・ケイト)に弟子入りを申し入れる。
恵司郎(恵)は、救ってくれた養父の小島屋を酒蔵として復活させるため、大江山の妖酒蔵での自身の杜氏修行を交換条件に白童の酒修行を承諾する。
女子であることに驚きつつも、恵と接するうちに白童は、本当に守るべきは人も妖も幸せに暮らせる世の中だと気づく。
お互いの志に強くひかれあう恵と白童。だが、住む場所も、志すことも違う二人はどちらからも自分の気持ちを言い出せないまま。
一方、銀童の危篤で結界が破れた時、おりしも都の奉行所が地震の調べに山に入っており、悲田院がみつかってしまう。
人を食べようとする蒼親とそれを止める白童。妖達の前で、大江山の将来についての考えを語る二人。
妖の能力を人は絶対に越えられないことを理由に、大江山に人はいらないという蒼親。たいして、白童は悲田院を交流の場としてよりよく妖を人の世に送り出すことによって、自分達は人の世に貢献できるはずだという白童。山が選んだのは白童だった。
苛つく蒼親は、酒に強いなら、自分の嫁にと強引に恵を攫う。救い出そうとする白童。恵は蒼親が本当は白童に頼ってほしくてあれこれ奪おうとすることを知り、蒼親に利き酒勝負を持ち掛ける。もし自分が負ければ蒼親の妻に、もし勝てば、蒼親は誠心誠意、白童の志を支えることという条件をつけて。
勝負の行方は、恵の酒造りは、白童の酒精克服は、そして、二人はお互いの思いを告げられるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-31 20:42:01
119400文字
会話率:46%
時は平安。
それはかの陰陽師安倍晴明おんみょうじあべのせいめいがこの地に生れずるよりも前の噺はなし。けれど時は同じく平安。
時代の名がその治世の逆を表しているかのような不和な時代。
鬼の封じ手として一人の少女がいた。
鬼の名は酒天童子。
少
女の名を桜と言った。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-10 23:29:46
293文字
会話率:0%
妖怪と人間の間に産み落とされた子供たち――混血(こんけつ)。
酒天童子を父に持つ五更氷芽(いさらひめ)は、自分に混血の宿命を背負わせた父を倒すため、妖怪に関する情報収集の一環で、妖怪が起こした事件を解決する五更館(いさらかん)を経営して
いた。
そんな彼女のもとに、息子が意識を取り戻さないという依頼が。
調査の結果、依頼対象者は『枕がえし』に枕を返され、魂を枕がえしのテリトリーにとらわれていることが判明。その直後、氷芽も枕がえしの空間に引き込まれる。
枕がえしの空間での戦闘の末、枕がえしを倒し、氷芽は元の空間に戻る。そして依頼対象者の意識も元に戻り無事依頼完了。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-09-17 23:44:47
26777文字
会話率:39%