世界にその名を冠する無防備都市ソーリャ。
そこには代々聖女と呼ばれる存在があった。
今代の聖女の名はセレフィアム・ターニャ・ソーリャ。
時がくれば神殿の奥深くにこもり、世俗とは離れて生活をするようになる彼女も、今はまだ10才の少女。
大人たちに隠れて神殿を抜け出しては、外でできた友人とわずかな自由を楽しんでいた。
友人の名はウォーダン。
都市の生まれではなく、祖父と共に旅をする放浪の民であった。
都市の人間であれば、聖女となる娘に近づくこともない。
知らぬが故の友情だったが、2人の仲は大人によって裂かれることとなる。
放浪の民の子どもなど殺してしまえ、という神殿の大人たちに、セレフィアムは2度と外へは出ないと誓ってウォーダンを助けた。
暴行を受け、気を失う寸前、ウォーダンは彼女に誓う。
「いつか必ず、助けに来る」と。
この街は何かがおかしい、何かが歪んでいる。
それから15年。
ソーリャは各地を侵略して回る帝国の脅威に晒されていた。
人々は強大な軍隊を前にしても都市の防壁を信頼している。
しかし、その防壁はなぜか帝国の軍隊の進軍を妨げることはなかった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-05 18:00:00
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会話率:30%