"早乙女蒼"は元勇者で、人間が大嫌いだ。
蒼には重大な秘密がある。それは、今の人生が三回目で、前々世では現実世界に、前世では異世界に勇者として生きていた事。
仲間たちと共に魔王を倒した後、蒼は一番信用していた一人の仲
間と、王国の裏切りにあって死んだ。仲間は金で王国に寝返ったのだ。
王国と仲間に裏切られた蒼は思った――人間は醜い生き物だ、と。
人間不信になりながらも、現実世界で穏やかな三度目の人生を始めた蒼だったが、隣の家には魔王が転生した存在、"黒野真央"が同じ日に生まれていた。
元魔王と幼馴染になってしまった蒼は、魔王らしいワガママな真央に振り回される幼少期を送った。
小学校に上がる前に引っ越しをしていった真央だったが、高二の始業式の日に、蒼の通う高校に転校してきた。
それだけならまだしも、真央は青春応援部とかいう、青春を楽しみながら生徒の青春を応援する部活がしたいとか言い出した。
他人が嫌いなうえ、また真央に振り回されるのを恐れた蒼は拒絶しようとするが、真央は蒼にとんでもない事を言う。
「部活動を一緒にやらないと勇者だって言いふらすぞ!」
もし勇者と言いふらされ、誰かにイジメられたりしたら、せっかく手に入れた静かで平穏な生活が消えてしまう。
この瞬間、蒼から拒否権は消え去った――
これは人間嫌いの元勇者が、様々な人と交流をしながら楽しく生活する中で、欠落してしまった心を取り戻す物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-15 07:41:52
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