夏の夜。神域とされる山の頂で、あやかし・烏天狗の「烏」は、親族の祝言に招かれていた。
が、少し様子がおかしい。
到着早々ふんだんに酒が振る舞われ、なかには絡んでくる輩も。
あわや、酔客と喧嘩になりかけたとき。
「失礼。ここに我が同胞、一
の杜(もり)の総領息子どのはおらぬか」
黒翼の羽ばたきも涼やかに、会場に舞い降りた兄貴分から尋ねられ──
問題があったのは、人の子の花嫁と烏天狗の花婿だった。
どさくさ紛れに烏に託された、重大な頼みごととは?
*(1)~(6)までの全六部分を三日間で投稿・完結します。計一万一千字ちょっとです。よろしくお願いします。
*この作品は香月よう子さま主催「夏の夜の恋物語企画」に参加しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-26 02:43:59
12060文字
会話率:33%
新学期の初日のことだった。一日の学校を終えて下駄箱へ靴を履くところの坂田阿木は一枚の切紙を見つけた。宛名もなければ執筆者の名前もない。「旧部活舎の3階の一番奥の部屋にあなたへの贈り物を用意しました」という内容しか書かれたいなかった。ラブレタ
ーというには少し味気ない物だったが期待を抱きながら彼はその切紙の通りに指定した部屋へと。だがその部屋で待っていたのは顔を赤らませた告白する女の子などではなかった。試される理性と彼のあの子への想いを悩む中、坂田阿木は今年を以て捻った大人の階段の下に立たされる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-12 12:00:00
47156文字
会話率:30%