あるところに、祈山という神社がありました。そこには、祈ることを得意とする神様がおりました。
それほど参拝者は多くありませんでしたが、来る人は決まって手を合わせ、自分の幸せを、他人の幸せを、そうでなければ誰かが不幸になりませんように、と祈
りました。
神様はそのひとつひとつに耳を傾け、彼らの幸せを祈り、去り行く背中に微笑みを向けました。
いつも、そうしていました。
──ある日、神社にある少女が訪れました。泣き腫らした目をした少女でした。
(神様、どうか──)
これは、ある神様と少女の、一方通行にしかならない想いの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-12-22 19:14:14
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会話率:3%