「--ああ、また囚われた」
ロウシン・バーンウィッスルは、冒険者である。高名ではなく、むしろその逆。最低ランクで、しかも所謂落ちこぼれ冒険者である。そんな彼は、異様なほどに何かに囚われる。ある時は盗賊団に囚われ、またある時はモンスターに囚わ
れ。どこぞの国の姫や王子ならまだしも、そんな身分でないにも関わらず。
……囚虜の末路は大抵悲惨なものだ。生きていることに利用価値があるならまだしも、そうでないなら死んでもおかしくない。囚われたことは数知れずのロウシンは、だがーー死んでいない。そんな彼の存在は、裏の世界の中でこう噂されていた。最強の囚虜、囚虜の王ーー即ち、囚虜王、と。……なお、噂になってることを本人はまだ知らない模様。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-03 07:00:00
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会話率:23%