「この世界は俺の語りでできている」――そんな妄想、誰もが一度は抱いたことがあるだろう。
平凡な高校生・クロウは、厨二病まじりの“裏設定ノート”を密かに書き連ねていた。
影の組織《幻語の福音》、七人の使徒、語ることで現実を操る《言霊》の力。
すべては机上の空論、妄想の産物……だったはず。
だが――転移先の異世界は違った。
そこでは“語った理想”が現実を侵食し、嘘が真実となり、物語が神を生む。
つまり、クロウがかつて綴った設定の数々は、この世界にとっての神話だった。
影に生きる青年は、やがて演出の神となる。
自身の嘘を信じた者たちは“使徒”として覚醒し、影の教団は現実を凌駕していく。
そして世界は――彼の“語り”どおりに、書き換えられてゆく。
これは、
語れば真実になる力を手にした男が、
妄想と演出だけで世界の裏側を支配していく、影の神話創造譚である。
「――我が語りに膝をつけ。この世界は、俺が演出した舞台にすぎないのだから」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 18:48:26
4575文字
会話率:18%