波打つ黒髪、赤銅色の瞳、体躯以上の怪力を持つ孤児、メリーエル。
鴉だ、悪魔だと囁かれる偏見と恐れを持ち前の意地と笑顔で切り抜けて、シスター見習いを経て孤児院を手伝おうとひそかに考えていたのだが、孤児院の出資者である侯爵に請願されて、近年鎖国
を解いたばかりの狩猟民族の住まう土地へ嫁入りすることになる。
当然、文化も言語も路地裏流どころか王国流も通用しない。
得意の話術が使えない。のべつ幕無し笑顔を作っていれば何を勘違いされるかわからない。
けれど下手を打って離縁などされては(孤児院が)困る。
言葉が通じない、ただそれだけのはずなのに完全に心が折れてしまい、3ヶ月もするとただ家事をする機械と化しつつあったメリーエルは、ふと思う。
「この花にはなんて意味があるのだろう。
あの日、彼はなんて言ってくれたんだろう」
白ヶ音雪さま主催「蛮族の嫁」大遅刻「蛮族の夕べ」企画に提出・・・したかった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-22 04:18:00
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