ここに一人の小説家がいる。
いや、小説家と言うのもおこがましい。何故なら、彼はまだ小説を一ページたりとも書いていない。スタート地点にすら立っていないのだ。彼を小説家などと言ったら、他の小説家達に筆かキーボードで殴り殺されるだろう。
彼
の名前は、小山田次郎(おやまだじろう)。現在は安月給のしがないサラリーマンをしている、どこにでもいるような男だ。
年齢は二十六歳。十八で高校を卒業し、大学に行かずに社会に出た小山田は、かれこれ八年もの間サラリーマンをやっている。そんな彼が、何故小説家を目指す事にしたのか。それは、老後のためだった……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-05-06 21:50:19
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