落合さくらは乙女ゲームが大好きな、余命僅かな16歳の少女。
けれど、手術を受ければ助かる可能性があり、さくらはその手術に臨む。
この時代の日本の医療は目覚ましい進化を遂げており、手術の成功率を上げるため、術中はゲームの世界へ飛び込め
るようになっていた。何かに夢中になると生きたいと思う気力が湧き、成功率が上がる事が証明され、このような術中の過ごし方が主流となっている。
生きたいと思う気持ちをうまく利用して、さくらの両親は手術を成功させようとしていたが、本人にはあまり生きる希望がない。
そんな彼女が選んだゲームは、キャラクターのイラストがなく、誰もクリアした事のない乙女ゲームだった。
イラストがない事が話題を呼んだこの乙女ゲームは、攻略キャラ全員に想い人がいる設定。そのせいで人気がなく、いつの間にか『何のために作られたかわからない乙女ゲーム』と言われるようになっていた。
誰からも必要とされていない乙女ゲームと自分を重ね、さくらはこのゲームをクリアする事を決意する。
ただし、自分は恋をせず、攻略キャラの恋のお手伝いをすると、決めて。
そんなさくらを待ち受けていたのは……、魂の宿る物語の進行をサポートするナビと攻略キャラ達だった。
仕組まれたような出会いの中で、さくらはどのように生きたいのかに気付く。
そしてこの不思議な乙女ゲームは、心から願った事を1度だけ叶えてくれる事が明らかになる。
さくらは何を願うのか。
その願いは本当に叶うのか。
この結末は、神のみぞ知る。
※この作品はカクヨムにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-07 19:00:00
166615文字
会話率:48%