堺市から泉大津にまたがる臨海工業地帯に突如として現れた、甲殻類に酷似した巨大生命体。
それは、大正からの劇的な改元の余韻覚めやらぬ修文4年の人々を恐怖のドン底に叩き落とし、地球人類を絶滅寸前の危機に追いやった、珪素獣の姿その物であった。
当該地域を管轄する人類防衛機構の堺県第2支局は、直ちに特命遊撃士を出動させたものの、敵性生命体の時空転移能力に巻き込まれた枚方京花少佐が、行方不明になってしまう。
それと時を同じくして、堺市内の大小路に、外見的特徴が枚方京花少佐に酷似した少女が突如出現。
枚方京花少佐の保護に沸き立つ一同だが、何かがおかしい。
何故なら、枚方京花少佐と思わしき少女が身に付けていたのは、人類が珪素生命体との生存戦争に明け暮れていた時代の日本軍の軍服だったからだ。
調査を進めていた人類防衛機構は、驚愕の事実に到達する。
枚方京花少佐に瓜二つの少女は、同少佐の曾祖母である所の、大日本帝国陸軍女子特務戦隊の園里香少尉であり、彼女は珪素戦争の時代から時空を越えてやって来た事を。
そして、園里香少尉と入れ替わるようにして、枚方京花少佐が珪素戦争の時代に来てしまった事を。
運命の悪戯か、時空を越えて入れ替わってしまった曾祖母と曾孫娘。
折しも堺県第2支局管轄地域には、新たなる邪悪の影が迫りつつあった。
果たして千里達は、未知の敵に打ち勝つ事が出来るのか?
そして、枚方京花少佐と園里香少尉は、各々の親友達が待つ本来の時代へと、無事に帰還する事が出来るのであろうか?
(※ 未成年者の飲酒シーンが登場しますが、当作品は現実の未成年の飲酒を推奨した物ではありません。当作品はフィクションであり、現実とは別の歴史を辿り、現実とは異なる法律が施行された日本が舞台です。フィクションと現実を分けて考えて下さい。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-22 11:35:35
102698文字
会話率:28%
切通雄二は朝眼が覚めた時、異様な世界にいる事に気が付く。切通の家は高台にある。眼下に常滑港や飛行場が見下ろせる。それらが全て消滅して、海がすぐ目の前まで迫っていた。家は何十年も人が住んだ事がないように荒れ果てていた。妻の幸子もいない。
慌てて外に飛び出す。家の周りには工場や借家が建ち並んでいたが、全て無人で荒れ果てていた。
海は家の5メートル程先の崖下まで迫っていた。空は分厚い雲が垂れ下がり、僅かに雲間から薄日が差していた。女の全裸死体が波間に漂ってくる。それは殺したはずの前妻の麗子だった。彼女の死体は切通の目の前で、たちまちに腐乱して消えていく。同時に切通の家や周りの家などが崩壊して大地に吸い込まれるようにして消えていく。後の残ったのは切通と1本の松の樹のみだった。
この時切通はすべてを悟る。この世界は麗子とその母の静子の怨念の世界だったのだ。切通はこれから何が起こる事を全て知った。
切通は空手道場で師範をしていた。佐原静子は入門して約1年後、稽古をつけた事で切通と結婚する。母の静子も切通家に住む。静子と麗子はスーパーの洋装品店で働いている。2人は家にいる事はほとんど無かった。
切通の結婚の蜜月生活は長く続かなかった。麗子自身切通との2人だけの生活を拒絶していた。2人のすれ違いの生活が始まる。静子が自分の店を持ったことで、切通家の財産の使い込みが発覚する。
切通は麗子との離婚を要求するが、静子の謝罪で元の木阿弥となる。
切通は幸子と知り合う。彼女の優しさが切通の心を支配する。彼は幸子と結婚するために麗子と別れる事を真剣に考え始める。
静子の店が潰れる。切通は使い込んだお金の返済を静子にせまる。
やがて静子が切通の食事に猫いらずを入れている事を、切通は知る。麗子達の殺意を知った切通は2人の殺害を計画する。山の中の松の樹がある場所でまず静子を殺す、次に妻の麗子を生きながらに埋めて殺す。そして幸子と結婚する。
だが幸子との蜜月の生活は長く続かなかった。幸子が気管支炎で死ぬ。その原因が死んだ麗子たちの怨霊にあると悟った切通は、警察に自首する。2人の遺体が掘り返されて、切通は死刑となる。
麗子と静子の怨霊の世界に囚われた切通の霊はやがて2人の棲む地獄へ連れていかれる事を知る。
その時幸子の姿が天界から現れ、切通を救い上げるのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-29 09:02:11
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会話率:12%