この世界に、物語はない。
生まれたときから病弱だったわたしは、前世の記憶を所持したまま「この世界」で目覚める。外界から隔離された小島の住人は、魂を書に縛り、志術という魔法のような術を使った。
志術を使う者、または「正しい人生」を送った者は、
亡くなると書を残す。
――――それが、この幽玄島唯一の物語。
そこには、故人の人生が書かれている。生まれて死ぬまでの物語。当然、他者に読ませるための本ではなく、秘匿したいことも書かれている。
「わたしは物語が読みたい!」
少女みちかは、この世界の常識に挑む。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-30 18:40:00
32748文字
会話率:30%