ある日突然、世界は終わりを迎えた。空は常に鉛色、大地は荒れ果て、人々は食料と安全な場所を求めて争い、モンスターが闊歩する。
元々はただの疲弊したOLだった小鳥遊(たかなし)ひよりは、幸か不幸かこの世界で目覚めると同時に、奇妙な能力を手に入れ
ていた。それは、どんな場所でも土壌を豊かにし、植物を育むことができるという、戦闘には全く役立たない**「無気力育成チート」**。
人々が殺伐としたサバイバルに奔走する中、ひよりは「もう頑張りたくない」という一心で、偶然見つけた廃れた温室に引きこもることを決意する。彼女の目標はただ一つ、誰も争わない、小さな「安らぎの庭」を創り、静かに穏やかに生きること。
瓦礫の山から花を咲かせ、荒野に作物を実らせ、時には傷ついた小動物や、戦いに疲れた人々がひよりの庭に迷い込んでくる。ひよりは彼らとも深く関わろうとはせず、ただ静かに、植物を育てるように、そっと手を差し伸べる。
これは、絶望に満ちた終末世界で、戦うことを放棄した一人の女性が、ひたすら植物と向き合い、その「無気力」な癒しの力で、荒廃した世界にささやかな「美」と「希望」を取り戻していく、静かで心温まる物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 09:55:24
9091文字
会話率:13%