人類軍との飽くなき戦争を続ける魔王軍は危機に瀕していた。
空を駆ける鉄の竜、大地を支配する鉄の馬、地平線の彼方から放たれる鋼鉄の雨。これらの機械兵器を操る人類軍を前にして、魔王軍は一発逆転を狙って異世界から救世主を召喚しようと試みる。
これで魔王軍は救われ――
「あの、事務しかできないんですけど」
「待って」
――ると思ったけどそんなことはなかったぜ。
現代日本にてごく普通に暮らしていた俺こと秋津アキラは突如としてトラックに撥ねられフライハイ、そのまま異世界に飛ばされ「魔王軍を救ってくれ」といきなり無理難題を突き付けられる。事務しかできない俺がそんなことできるわけないだろ! という叫びは「勿体ないから」という理不尽な理由で魔王軍の事務屋におさまる。
なんか帰れなさそうだから軍隊らしく兵站(へいたん)業務でもするかな! と思ったのだが……。
「……兵站ってなんだ?」
「はい?」
これは、前近代的な軍隊でしかなかった魔王軍が、紙とペンとインクを駆使していかにして変わっていたかを追う物語――
「とりあえずこれにサインを――」
「文字書けないです」
「えー……」
――だったらいいなぁ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-12 19:32:54
729642文字
会話率:44%