──届かぬ想いは、運ばれる。存在しない“始点”から。
この世界には、決して届かず、拾われず、還ることもできない“想い”がある。
忘れたはずの記憶、伝え損ねた言葉、そして、残された未練。
それらを密かに運ぶ謎の運送業者――「零番物流」。
正式名称は「零番輸送サービス株式会社」。
すでに廃業したはずの旧運送会社は、今なお、“存在しないはずの番地”へと配達を続けている。
都市伝説のように語られるその運送業者を追うのは、遺品整理士にしてノンフィクションライター・朽木縁(くちき ゆかり)。
依頼を受け、遺品に触れるたび、彼女は“あの人”の記憶と、再び向き合うことになる。
「……縁って、やっぱり、やさしいんだね」
忘れたはずの声、右手に残る温もり。
そして、ある日届いた、“宛名のない小包”。
それは、過去からではなく――
“存在しない始点(ゼロ)”から、再配達されたものだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-25 19:34:18
2036文字
会話率:3%
「あの子」と別れを告げたのは、あたしの方だった。
進行する病に気づきながら、彼女の未来を守るために、あたしは身を引いた。
それなのに、ある日スマホの中に、見覚えのない写真が増え始める。
写っていたのは、笑い合う“ふたり”の姿――
現
実には存在しない、未来のあたしと、彼女だった。
消したはずの記憶。もう戻らないはずの恋。
それでも、スマホの中で――
わたしたちはもう一度、出会ってしまった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-25 06:52:02
2816文字
会話率:9%
二年前に姿を消した“親友”――有村。
梅雨のある日、彼女のロッカーに差し出された一通の手紙が、わたしの日常を狂わせていく。
ロッカーの中には、見知らぬ小物と“知らない有村”たちの記憶。
ガラス片、リボン、ぬいぐるみ……そのひとつひとつ
が、異なる“彼女”をこの世界に呼び寄せる。
「ゆっこは、わたしのもの」
無数の並行世界から集まった“有村”たちが、わたしを巡って争いはじめる。
それはやがて、“わたし自身”の命をも巻き込んで――
「ロッカーの鍵、“あの子”の分も開けておいたよ」
愛と狂気が交錯する、終わりなき“再会”の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-24 20:39:44
2425文字
会話率:21%
およそ〈存在〉が明るみに出ては、また消えゆく――暴力と恐怖、そして永遠を繋ぎ合せる純文学ホラー作品。
最終更新:2014-08-14 00:43:22
5612文字
会話率:8%