「え?」
朝起きて、泉へ水を汲みに行こうと玄関の扉を開くと、そこは水の中だった。
赤銅色の髪の少女、ノカは足を踏み出せずに固まって、ぎこちなく足元の小さな猫を見やる。
「‥‥ニコ、なにこれ?」
「‥‥ボクに聞かれても‥‥」
ニコも呆気にと
られてぼんやりしている。
目の前、扉がはまっていた枠に水が張られている。
指先を伸ばしてみると、水の中にトプンと入る。
扉の奥に広がっているのは見慣れた草むらだけれど、すべては水の中に沈んでいて、上を見ると遥か上空にキラキラと輝く水面が見えた。
世界の果てに住む龍と妹とその眷属のお話。
朝起きると外が海だったので、海の底へ行ってきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-08 15:54:46
6256文字
会話率:35%
大陸の西の涯、道のない険しい山脈のさらに先。海を臨む断崖の上に、切り株のような形のちいさな館がありました。
王城からの帰り、ノカはそのまま雨を迎えに行くことにしました。王国に雨の月がやってきます。
人が足を踏み入れられない地に住む、人で
ない兄妹の日常のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-05 14:42:36
11780文字
会話率:44%