ぼくは公園にある立水栓で泥団子をつくった手を洗う。指の間、手の平、爪の隙間まで入念に洗うぼくの足元には、泥色の水たまりができていく。ぼくはそれを見下ろしながら、水不足の国の子どもはこの泥水も喜んで飲むのだろうかと考え、もしぼくが彼らの立場な
ら、そんな惨めなことは絶対にしないだろうと思う。そんな感想を抱くぼくの頭のなかから、まだ目覚めていないぼくが現れる。そのぼくは、酔いに任せて嘔吐する。そして、自らの嘔吐物に親近感を抱いたりもしながら、この嘔吐物が水不足の国に住まう人々を救う想像をする。ぼくはそうやって身勝手な想像を回らせる自分自身に嫌悪し、そんな自分から目を背けるようにしてなにもかも飲み込もうとする。またすべて吐き出してしまうことを知りながら、なにもかも飲み込もうとする。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-04 16:00:00
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