ある嵐の晩、就職先である葬祭業社の倉庫で片付けをしていた農家の長男坊の桑名耕作くわなこうさくは、何の因果か外に出てスマホを使おうとした瞬間に運悪く落雷に撃たれてしまう。
死の縁であろう意識の混濁から目覚めた耕作は、中世ヨーロッパと見間違う
ような部屋にいるのだった。
「ああっ!勇者様、よくぞいらっしゃってくれました!」
はっ?何いってるのこの人たち?ってかどこここ?勇者??!!
教科書や本でしか見たことのない人々に囲まれながらも、心のなかでそう嘯く彼は、姫様然とした格好の女の台詞に疑問しか湧かない。
「ゆっ……ゆゆゆ勇者ああああ??」
こうして勇者として|召喚(よば)れたにも関わらずこの美しき大地【ゼフィーリア】が抱える魔王軍侵攻という大災厄を農業で平和へと導いた、希代の凡人の歴史が始まるのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-07-26 22:49:12
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会話率:46%