その外見から僕は「天使」と呼ばれる。美しいのは悪いことだと思わないけれど、そうだと言い表されて居心地がいいはずがない。だってれっきとした男なのだから。顔をしかめたくなる瞬間すらある。父が早逝し、以来爵位を継いではや二年――僕は十二になった。
今は夏、来春には中学生だ。立派なニンゲンになりたいし、男らしくありたい。なのにひょんなことから「執事募集」に挙手してくれたのは得体の知れない、男色家に違いない黒髪の美男で――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-25 12:37:01
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