穏やかな村に暮らしていた一人の青年が、ある日、ふとした気まぐれで「光の剣」を引き抜いた――
それは、伝承に語られる“選ばれし者”の証であり、王国に新たな運命をもたらす序章でもあった。
青年のもとを訪れたのは、エルデンティア王国第一王女、リ
アノ=ルヴィア。
気高く、冷静でありながらも柔らかな微笑を絶やさぬその姫君は、自らの眼で青年の誠実さを見極め、やがて“勇者”として彼を王都へと迎え入れる。
王城にて、彼は国王陛下と謁見を果たし、その人柄と真心を認められるに至る。
さらに姫君は、人知れず得た“婚約の言質”を軽やかに公表し、場を動かす気品と機知を見せつけた。
そして夜、別々の寝室へと案内された二人。
王家の伝統に従い、互いの心の距離を尊重しながら――
姫君は静かにこう語る。
「無理のない関係から始めましょう、勇者様。
いずれは隣でお休みになりたいと思っていただけるように……わたくし、努力いたしますわ」
これは、剣によって選ばれし青年と、王国を背負う姫君が、
少しずつ、誠実に、心を重ねてゆく物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 17:53:35
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会話率:18%