下町のリーナは、魔術師の魔法の杖をメンテする魔術整備士だ。
母の遺した店を守ろうと必死だったが、ギルドににらまれ、店は閉店に追い込まれる。
その夜、母を想って泣いていたリーナの目の前に、屋根を突き破って、第三王子のレオが落下してきた。彼を
助けたことで、リーナは波瀾万丈の運命を歩むことになる。
「はっ!! こんなに気持ちよく魔法を放てたのははじめてだ。おまえの尖りすぎのチューニング、気に入ったぞ。喜べ、今日から俺様専属の魔術整備士だ」
信じられない幸運に、夢なら覚めないで、と祈るリーナ。
「俺様は常に命を狙われている。俺様を守るため、おまえ貴族令嬢のふりをして、側近として俺様につかえろ。いや、どうせなら婚約者のふりをして学校にも通ってもらうほうが、都合がいいな。貴族の身分詐称は死刑だからな。バレないようがんばれよ、俺様のために」
それは幸せな夢ではなく、悪夢のはじまりだった。
「安心しろ、二カ月間のスペシャルコースで、完璧な貴族の娘にしたてあげてやろう。人間、死ぬ気になればたいていのことは可能だ」
救い主と思われたレオは、とんでもない俺様系王子だった。
進むも地獄、退くも地獄。
下町娘の、デッドオアアライブな、学園生活と貴族生活がスタートする。だけど、超ドSのレオが時々見せる優しさと弱さが妙に気になって……。少しだけ変化球の、シンデレラストーリー開幕。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-15 17:00:00
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会話率:26%