――剣も、魔法も、名もなかった。
深き森で“獣”として生きていた少年は、王女に拾われた。
魔法も富もない、小さな国〈フィノア〉。だがそこには、人の温もりがあった。
言葉を覚え、名を得た少年は“アッシュ”と呼ばれるよう
になり、
やがて一振りの木剣と出会う。それが、彼の旅の始まりだった。
金を誇る王国。科学を掲げる共和国。
魔術に支配された大公国。芸術と精霊の都。
そして――まだ何者でもなかった少年。
試されるのは“力”ではない。
問われるのは、“その剣は、何のためにあるのか”。
これは、誓いを持たぬ少年が、やがて“空を裂く刃”となるまでの物語。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-07 22:24:33
2094文字
会話率:12%