この数年地方では、雨が降らない日々が続いていた。
それが原因で、大干ばつが起こり。小さな村から少しずつ病に倒れ。人が死んでいった。小さな国々は瞬く間に。経済は破綻。多くの難民を抱えることになった。
空砂(からさ)という名の小さな国が
ある。村が2つあるだけの国は、広大な荒れ地と僅かな肥沃な山岳地を領土にしていた。国はクレイバレスと呼ばれる。幅広の大剣(クレイモア)に似た切り立った山々に囲まれた高知にあって、中央の魔境グランデに一番近い国でもあった。
ただ間には、炎の森と呼ばれる。一年中灼熱地帯の枯れた森。燃える川と呼ばれる危険な川を隔てていたが、徒歩で中央に向かう唯一の国境である。近年多くの死を振り撒く飢饉は、地方に戦乱を招いたのだ。
「無いなら奪えばいい」
誰が言ったか分からないが、座ったまま死に絶えることなど日常茶飯事。それどころか一個のパンのため。子供すら殺す現実……。最早幸せなど夢物語にしかない。大人達は希望を失って。座りながら死を選ぶ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-02-24 19:45:33
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