表現は上手だけれど、何かが欠落していて、楽しめない。それが二十万字の大作を書き上げて新人賞に応募したある男に下された評価だった。彼はその欠落しているものを教えてくれと叫びたくなった。彼の二年間はあっという間に無駄になった。せっかくの大作も
誰にも愛されないまま粉塵になった。気落ちするあまり、仕事にも手がつかない。そんな彼は上司から休むように言われて休むことにして、その当日、どうしようもない心を抱えたまま外へ歩き出した。これは才能がないと知りながら、芸術家でありたいとあがく男の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-07 18:13:23
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会話率:33%