傷付いた仲間が横たわっていた。
先刻まで笑顔を見せて、今まで共に戦ってきた戦友だ。
背中に致命傷を受け、もう言葉を発することもない。
流れ出た血液が、懐かしい思い出と共に溢れ出る。
こんなはずではなかった。
いくら魔物が結集したと
ころで、
この城がここまで攻め入られるなんて、
誰が予想しただろうか。
己の剣の柄を握りしめる。
剣先を敵に向ける。
あれだけ研鑽を積んだ日々を裏切るように、
手の震えが止まらない。
恐怖にすくみ、足も重い。
眼前には、巨躯の魔物。
牛頭で鋭い双角をもつ。
両手には鍔のない刀を一振りずつ。
戦友の背中を心臓ごと貫いた刀を抜き、付いた血を払う。
光の無い双眸を、こちらに向ける。
ゆっくりと歩き出したその動作に
脈動する心臓が、凍てついた。
震える剣を振る間もなく、凶刃は体を引き裂いた。
凍てついたはずの血は、思ったよりも、暖かかった。
止めどない吹雪がふきあれるこの地より、遥か遠い場所。
とある教会で一人の捨て子が拾われた。
夜空の色をその目に宿し、
後に、目に映る全てを救ったとされる子ども。
混乱を収め、万世を平和に均した
彼の者たちと、同じ力。
この物語は、その少年が歩んだ軌跡。
魔王をめぐり、星を救う
少年たちの冒険譚である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 17:10:00
551593文字
会話率:20%
──地平線の果てにまで広がる砂漠。大陸南部を覆い尽くすこの死の大地にそびえたつ旧城塞エフォロイ。世界最後の終末戦争に耐えたこの要塞は、生き残った人類の中でも、外郭で生きていけない弱者を守るための揺り籠となっていた──
生きていくために、人
々は様々な方法で生業する。外郭の遺物を漁るテクノロジーハンター。彼らのような探求者からの依頼を遂行する便利屋。得られたロストテクノロジーに再び命を吹き込む技術者。そして、力なきスラムの住民が、明日も生きぬく為に勤しむ屑拾い。そう、少年ジャックは、他の大勢のスラム住民と同じように…彼は何者でもない──筈だった。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-19 19:10:57
7190文字
会話率:34%
どうして俺は長編を書けないのか…(´・ω・`) ? 努力と根性が足り無い作者が送る、星の屑のような短編集。さまざまな一発ネタ、思いつき、何でも書きゃいいってもんじゃねえだろ……な思いが綴られる。
最終更新:2013-05-14 23:29:05
13234文字
会話率:35%
冬の空を見て想うこと。
それは君の―――
キーワード:
最終更新:2011-07-02 21:51:01
1683文字
会話率:48%