西暦二〇三〇年。東ヨーロッパ・バルカン半島にて核弾頭が炸裂。日本国防陸軍は、国連の要請に基づき該当地域へPKF部隊を派遣する。それは失われた世界唯一の被爆国というブランドを取り戻す為の、政治的判断による派遣。その数、僅かに六〇〇余名。
現地で日本隊に保護された少女。名はアナベル・ミハエロブナ・サハリン十四歳。少女は故郷を焼き払い両親を殺し、弟さえも殺した大人たちを憎み殺しつくす為に、自ら進んで狙撃専門のチャイルドソルジャーとなった加害者であり、戦争被害者。
だが、少女は『蛇』に取り付かれていた。取り付いた蛇を独自の見解からサタンと認識した大天使(ガブリエル)は、その事を伏せたまま合衆国大統領に対し、全人類の抹殺を宣言。
天使の介入を受けた戦場は混乱の一途を辿り、余りの理不尽さに兵士達は神に助けをこうた。その呼び掛けに、日本の九十九神が戦場に舞い降りる。
大天使は戦場での蛇の覚醒を受け、腹心の天使に少女の抹殺を指示。その際、人間側に生き残るチャンスを与えるが、それに気が付ける人間はもういなかった。
落胆した大天使は人間に語り掛け、事実上少女を殺せと命令。
恐怖の中、正常な判断力を失った大人達は、守る者、殺す者に別れ無意味な戦闘を続ける。
九十九神は米ソ全面核戦争を回避する為に、全ての力を使い果たし消滅。
自身を助けてくれた大人たちの死を目に、少女は自力で蛇を押さえ込む事に成功。それを見届けた大天使は少女と誓いを交わす。
降りしきる雨は薬莢だった。
空気は硝煙で満たされ、歩を進める毎に肌を焦がす。
先の見えぬ混乱の中、我々は進む。ただその先に、平和が有ると信じ。
守る側に回った薙雲達は、大天使より「永遠に生きる少女を守れ」と指示された。
日本が得たものは一人の少女の命、ただそれだけだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-19 21:43:14
10844文字
会話率:18%
西暦2022年。尖閣諸島をめぐる日中衝突をきっかけに勃発した「アジア海洋戦争」により、極東地域の勢力図は大きく変動。戦争末期に続発した内乱によって国体を保てなくなり、「東亜連邦」「チベット王国」「東トルキスタン」といった複数国に分裂した中国
だけでなく、国家防衛に多くの人的・物的損害を余儀なくされた日本もまた、国防体制の抜本的改革を迫られることとなった。
それから10年後の西暦2032年。旧海上保安庁が改組されて誕生した、日本国沿岸警備隊所属の戦闘艦である沿岸警備艦「ふそう」は、民間タンカーからの救援要請を受けて現場海域に向かった結果、ある事件に巻き込まれる。それは、旧海上自衛隊から改組された日本国防海軍との関係に微妙な影を落とし、また東アジア地域に再び混迷をもたらす大事件の序章に過ぎなかった…。
・ふそう艦長の沿岸警備隊員、真行寺蒼一等海佐を主人公とする完全オリジナル小説です。不定期更新を予定しています。
・作中の日本国沿岸警備隊は一応海上保安庁の後継を名乗っていますが、組織文化的にも理念的にも全くの別物という設定ですのでご了承ください。
・ミリタリーはまだまだにわかです。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
・ハーメルン(https://syosetu.org/novel/168625/)、Pixiv(https://www.pixiv.net/novel/series/1104255)にて重複投稿を実施しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-05 23:42:30
191643文字
会話率:58%