遥か遠い宇宙で起こった キロノヴァ は、この太陽系小惑星帯にも重力波を及ぼした。重力波は小惑星群を地球との接触軌道に乗せ、その一部を接触させた。その結果、周回軌道が太陽に近づいただけではなく、地球は太陽に対する公転と自転周期を一致させる事
となった。常に太陽光に晒される地表は水分を失い、反対に闇に閉ざされた部分は海水が氷床化し、結果として海抜を6000m押し下げることとなった。だが、小惑星の接触が齎したのはこれだけではない。
環形性菌糸によるセプシス症候群を引き起こした人が、環形動物へと獣化(ヒューマノイド•パラドクサ:通称 ヴィラルガ)する事態を引き起こす。
残された人類は白夜と極夜の境に円環した緩衝帯に追いやれる事となった。海底が剥き出しとなった大地の断崖に人々は住まい自治区を築いて ヴィラルガ の脅威から逃れた人類だったが、相変わらず人類は資源争いに興じる日々が続く。
この星が地球と呼ばれていたことなど知る者はもういない。
そんな世界の緩衝帯でミニ国家 ル•ミネラ で生きる 青年 イアン=マクナイツ は叶わぬ願いと逸る想いを胸に、未踏破断崖地帯の探索任務を受ける。
※前中後の3部構成の短編小説となります
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-22 20:20:00
8397文字
会話率:84%