――――――彼女が死んだあの日から、俺は人を止めた。
”狂犬”と呼ばれる逮捕率100%を誇る凄腕刑事がいた。
その男の名は犬上馨といい、警視庁殺人課第0班に所属する刑事である。
馨は十年前に発生した七尾公園女性変死事件の被害者
の恋人であり、通称”血抜き事件”と呼ばれる未解決事件をキッカケに人が変わってしまう。
犯罪者と見れば容赦なく食い散らかす様から畏怖を含んだ仇名――――――”狂犬”と名付けられた。
しかし、そんな狂犬の終わりは実にあっけないものであった。
犯人捕縛に情熱を注ぐことを第一に考え、自分自身の健康を顧みる事はなく奔走した結果。
身体はボロボロ。不調を訴えた時には余命1年と宣告される始末。
その時、馨は思った。
余命一年なら、俺は死ぬ前に恋人を殺した犯人を捜しだそう。
そして、死ぬ前にこの手で殺してやろうと。
――――――――これは余命1年の男が、寿命が尽きる最期までに彼女の無念を晴らす復讐譚である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-02-05 05:00:00
18887文字
会話率:37%