私の名は葉山美鈴 (はやま・みすず)、前世の記憶を持つ中学一年生の女子である。
今世の世界は、前世の私が遊んだ十八歳未満の方はご遠慮下さいな同人乙女ゲームと、何故だか酷似していた。お隣の御園 (みその)さん家に住む女子大生、皐月 (さつ
き)さん。彼女がその乙女ゲームのヒロインであり、私は彼女のアドバイザー役を割り振られていた。あくまでも、ゲームの中では。
しかしながら今世を生きる上で、ここはゲームシステムではなく法律と物理法則と一般常識に支配される現実世界である。
例のゲームのような非常識でホラーでクリムゾンな展開は絶対に回避したい私だったが、皐月さんは攻略対象のうちの一人、准教授に夢中になり、彼の乙女の恋心ルートに乗っかったらしい。
それはまあ、仕方がない。突入してしまったものはもう仕方がない。
ゲーム展開でヒロインと攻略対象の間で行われる恋の駆け引きにおいて、アドバイザー役を割り振られている現実の私に出来る事は、基本的にほぼない。というか、選択肢の内容そのものを全く覚えていない。だから私は、彼女が間違った選択肢を選ばないよう、祈るだけだ。皐月さんのヒロイン力を信じて!
ゲーム中での情報提供という能力が現実の私に無い以上、アドバイザー役としての最低限の役割……准教授ルートの片割れ、チャラ男先輩の足留めを決意した私であるが、立ちはだかる問題は無情である。
犯罪者に変身する可能性を秘めた『チャラ男先輩』はいったい、どこの誰なのだろうか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-11 06:49:01
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