たとえダメだと分かっていても……。それでも私は先生が好きなんです!
二年二組の生徒:原田結花(十六歳 高校二年生)
二年二組の担任:小島陽人(二十五歳 教師歴三年目)
小さな頃から自分に自信を持つことができなかった原田結花。
周囲が恋愛
話に盛り上がっていても自分には関係がないといつも蚊帳の外。学級委員という肩書も、それは他に立候補する人がいないから、自分が引き受ければ事が進むという消極的な理由。
そんな彼女が高校二年生の始業式の日の放課後、偶然に教室に忘れものを取りに来た陽人を人生で初めて意識してしまう。一方の陽人も結花には他の生徒とはどこか一線を越えたもの感じていた。
そんな結花は高校二年生の冬に治療をしなければ命にかかわってしまう病気を告げられてしまう。
手術は成功するものの、言われもない噂を流された結花は孤立して追い詰められてしまう。
そんな彼女の味方でいたのは一人の親友と、担任の陽人だった。
陽人は結花を絶対に自らの手で卒業させると決意をするも、周囲の環境に耐えきれなくなった結花は自らの学生としての道を閉ざす。その事実を知った陽人も彼女を追うように教職を辞めた。
そんな二人が再会したのは、結花の母親の友人が開いているカフェレストラン。
お互いの気持ちは同じ。言葉には出ないけれど「今度こそ失敗したくない」。
「教師と生徒」というタブーとも言われてしまう関係を、互いに身を引くことで結果的に突き破った。
それでも、二人の前には乗り越えなくてはいけない問題がいくつも立ちはだかる。
初めての恋心に何度も自信を失いかけた結花の手を陽人は引き続ける。
一方の陽人にも誰にも話していない過去を持っており、唯一それを話せたのは彼女だけ。
それでも、結花は「中卒では先生の隣に立つには申し訳ない」と奮起。
陽人の海外転勤を機に、二人は一時の寂しさを抱えながらも一つの約束を交わした……。
途切れそうな儚い赤い糸を何度も必死に守り抜いた不器用な二人の純愛物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-02 20:50:56
158028文字
会話率:40%
九 瑠一(いちじく るい)30歳独身。
伊達メガネをかけて気弱さを演出する苦労人だが、基本良い人。良い人というか、天邪鬼なお節介焼き。頼まれるとしたくないくせに、自分からする事には不平も不満もない。
家族構成は父、母、妹の核家族だったが、
ちょうど自分が同行しなかった家族旅行先で自動車事故に遭い帰らぬ人に。その時に何もできなかった自分を責め、猛勉強の果てに東大医学部へギリギリ合格するも、成績は下の下。親の生命保険の受取でまとまったお金は得たものの、塾に通うほどの余裕はなく、留年せずに奇跡的に卒業する。医師免許試験は見事一発合格し、大学の医局で新米ドクターの研修を始める。研修の最中にどす黒い人間関係で心を病み、気に入らない教授を殴り、医者の道を断念する。医療に関する知識と技術は新人でも群を抜いていたとか。
並行して、ストレスを発散させるために合氣道の道場へ入門するも真面目さが高じて合気道六段の腕前を持つ。そんな彼が、職場のストレスで人間不信になったのも仕方のないことだろう。唯一、合氣道場の師範には心を開いていたのだが、暴行事件を機に都会を離れ、新潟の町工場へ逃げこむように再就職してナイフや包丁を作ることになる。まだ情緒不安定だが、年配者の多い良い職場で心のリハビリを行って徐々に回復傾向にある。
ひょんなことから、連休を利用して社員旅行に東京へ来た際横断歩道を渡っている最中に大型トラックにはねられ死亡。女神様の手違いで生霊《レイス》になる。
アンデッドであるのに特異な存在であることに気付かず、得た力がチート級であるにも気付かず、只々自分が生霊《レイス》であることを隠して、事なかれを貫こうとするルイ。
そんなルイの前に、様々な出会いと事件が転がり込んでくる。
生霊《レイス》であることを隠し通せるのか?
静かな暮らしを手に入れることが出来るのか?
勇者が持て囃され、魔王が跋扈する世界でルイが見たものは!?
物語はここから始まる。
陽の光が入り込めぬほど鬱蒼とした闇をその内に抱える森。太い幹から伸びる枝の先さえ闇に呑まれて見ることができない。ただ、かなりの空間が広がっているのだろうと言う黒い森だ。
梟の声だろうか。寂しげな声が闇の中を彷徨っている。
と、その闇の中に、ぼんやりとした光を放つ半透明の青年が突然現れたーー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-01 22:57:13
1698523文字
会話率:50%