私は、捨てられた黒猫である。まだ名のなかった『私』は、ある日、一人の人間の男と出会った。どうやら、愛想もない私を、彼は手放すつもりがないらしい。だから、私は彼と共に暮らす事にした。
――名前がアレクサンドリア? 冗談じゃない! 想像するとゾ
ッとする。おい若造、どうにかしてくれ。ふむ「クロ」か、気に入った。私の事はそう呼ぶがいい。――
これは生に執着のなかった『私』が、初めて生にしがみつきたいと強く願うまでに人を愛した、人間の家族と過ごした十四回の四季を綴った物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-07-15 02:38:14
38094文字
会話率:23%