皐月初旬。日本橋の加賀屋菊之助は妻八重を亡くして一ヶ月が経った。失意のどん底の菊之助に、大番頭は才女の上女中を斡旋すると評判の口入れ屋山王屋を説明した。菊之助は山王屋で、亡くなった八重に瓜二つの上女中の多惠と出会い、多惠を加賀屋の上女中に
する。多惠は全てが、亡くなった妻の八重に似ていた。水無月下旬。菊之助は多惠と契りを交し、二人は葉月初旬に祝言を挙げることになった。
文月二十一日、深夜、加賀屋に夜盗が入り土蔵から五千両が奪われた。
翌二十二日。与力藤堂八郎率いる町方による加賀屋の御用改めの結果、加賀屋の内情を知る者と加賀屋の土蔵の錠前を開けれる者が夜盗の一味にいるとわかった。
唐十郎たち特使探索方は、与三郎が多惠を加賀屋へ潜入させて内情を探り、加賀屋を襲ったと推察し、与三郎たちを捕縛する策を練る。
与力藤堂八郎は、加賀屋の亡くなった八重と共に暮した時期があった。人別帳を調べると八重と多惠は双子の姉妹で、八年前に八重の一家が江戸に出てきた折、妹の多惠は江戸に馴染めずに母と共に仙台へ戻っていた。
唐十郎たちは、夜盗をするために多惠が八重にすり替ったと推察し、与三郎たちを罠に嵌めるため、特使探索方の与五郎を加賀屋に潜入させて多惠を探り、囮の指物問屋、藤正屋の開店を準備する。
二十四日。指物問屋藤正屋の主に扮した特使探索方の藤兵衛が山王屋へ行き上女中を斡旋するよう依頼し、二十五日早朝、両替屋から藤正屋に二千両が運ばれた。唐十郎は、この様子を与三郎一味の阿久津が探っていたのを見届け、奉公人たちに扮した特使探索方と町方に厳戒態勢をとらせる。両替屋から二千両が藤正屋に届けられたと知った加賀屋の多惠から「今宵にも与三郎らが藤正屋を襲う」との文が届く。
その日深夜、与三郎たちが藤正屋の土蔵を襲ったが特使探索方と町方の策に嵌まり土蔵内に監禁され捕縛された。多惠は藤堂八郎のかつて側室の八重だった。与三郎に妹多惠と父を斬殺された恨みを晴すため、八重は与三郎らの捕縛に協力していた。
その後の吟味で奉行所は与三郎らを死罪に処した。八重は三女の佐恵と共に、亡き妹多惠と父の恨みを晴すため、多惠に扮して与三郎一味を町方に捕縛させ、盗まれた金子発見に協力した事を考慮し、奉行所は佐恵に多惠として加賀屋菊之助に嫁ぐ事を、八重は藤堂八右衛門の養女となって藤堂八郎に嫁ぐ事を命じた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-05 09:50:09
71918文字
会話率:36%
機関銃ぶっ放す治安維持組織って格好良いなと思ったから、
描いてみました!
最終更新:2020-05-29 15:43:32
264文字
会話率:20%