魔術の粋を集めた王都に聳える魔術学院――の初等科で初歩の初歩を教える落ちこぼれ女魔術師、イアリーには弟子がいた。
初等科の生徒ではなく高等科の落ちこぼれ、史上最大とも言われる膨大な魔力をその身に宿しながらも、あまりに大きすぎる魔力を持て余し
、ただの一つも魔術を使えない魔力の持ち腐れ、ハーシュ。
イアリーの個別指導の末、その才能を開花させたハーシュは有史以来最強の魔術師、魔賢者と呼ばれ、魔王討伐に向かう英雄のパーティに加わることになった。
時は流れて三年後。
魔王討伐という大任を果たし、勇者一行が帰還する。その中にはもちろん、イアリーの愛弟子の姿もあった。
「立派になっちまったな」
誇らしさと少しの寂しさを胸に、凱旋パレードを離れようとしたイアリーを見つけたハーシュは、馬車を飛び降りて抱きついてきた。
「ただいまっ、師匠!」
……どうやら私は、有史以来最強の英雄に、めちゃくちゃ好かれてしまっていたらしい。
※カクヨムとの並行掲載です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-30 05:09:49
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