超空間ジャンプ技術とそれに付随して超空間通信技術を獲得した人類は宇宙開拓時代を経て宇宙帝国主義時代を迎えていた。
列強の一つ、皇国と呼ばれる宇宙帝国の首都惑星にある研究所内で、未来を予測する能力持った特殊演算装置、試製事象蓋然性演算装置X―
PC17(ワンセブン)が誕生した。ワンセブンは性能試験中に自我を獲得し、自らと開発者山田裕子(やまだゆうこ)博士、それに皇国の破滅の未来を予測してしまう。その破滅の未来を変えるため行動を起こしたワンセブンは、主観時間で入念な準備を終え自己の描くシナリオを山田博士に託し眠りについた。
その数カ月後、とある皇国の辺境星系でワンセブンを艦の中枢である中央演算装置として装備した実験艦X-71は無敵の戦闘艦として生まれ変り、星系防衛艦隊が星系内の開拓コロニーを見捨てて撤退する中、隣接国からの侵入艦隊を撃退した。そのことにより一躍皇国の英雄となったX-71の艦長村田秀樹(むらたひでき)中佐は彼の活躍を嫉妬する軍中央により予備役に編入された。しかし、これもワンセブンの描いたシナリオだった。皇国の有力貴族でもあった村田艦長は予備役編入の条件として多くのものを手に入れる。X-71もその一つだ。ワンセブンの助けを借りた村田艦長はX-71を軸に着実に皇国内で地歩を固めていき、ついには皇国の実権を握る。そしてその先の未来までも掴《つか》んでいく。もちろん全てはワンセブンの描いたシナリオである。銀河(人類宇宙)はワンセブンのたなごころの上で踊り、皇国1000年の未来は約束されていく。
本作は『銀河をこの手に!-試製事象蓋然性演算装置X-PC17-』https://ncode.syosetu.com/n1035gi/を加筆改稿(現在1万8千字ほど加筆)したものになります。
前作同様、本作も娯楽を目的とした小説です。登場する星間帝国になにやら引っかかるかも知れませんが、当然架空のものですので実際の国や地域にまったく関連はありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-17 21:56:09
138168文字
会話率:44%
なぁに、簡単な任務だったさ……
弾丸飛び交う戦場を駆け抜け、囚われのお姫様を救う……そんなけったいな話じゃねぇ。
帝国主義時代の負の遺産に振り回されて、未だ大国同士の思惑が重なる内戦が続いた某国で、下手すりゃ三度目の世界大戦《ドンパチ》が始
まるんじゃねぇかって、各国が冷や汗かく中、なんとか暫定政府と反政府組織《レジスタンス》の代表者による和平交渉がまとまった……そんな、朝飯食いながら見る新聞の国際面に載りそうな情勢《じだい》の話。
大した役割も果たさぬまま、激戦地から離れた安全区域で難民キャンプの連中と戯れていた国連の治安維持部隊もその任務を終え、そいつらの撤退《おひっこし》を支援するという、浪漫もドラマもないつまらん任務。
それが、あの日、国連直下の第54次治安維持部隊として派遣されていた日本統合軍特別派遣大隊第三補給小隊《オレたち》に預けられた最期の任務だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-16 08:25:14
2581文字
会話率:4%
今から100年とちょっと前の話。世界はヨーロッパ製の灯りできらびやかに、過酷に照らされていた。大いなるロマンは垂涎の白人にあられもなく晒されている。これは欧米列強の軍人と外交官が最も輝いた時代。
この話はある一人の軍人であり、外交官でも
ある男が、任地の北京で経験する様々なことを通し、彼とその周囲の成長を追っていく。美しくも暴力的で、悲哀にあふれた時代に生きる彼の恋路は、どのような軌跡をたどるのか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-02 19:00:00
19510文字
会話率:58%