“それ”は静かに現れた。
誰にも知られず、いつの間にかそこにいて、触れずとも世界の輪郭を揺らし始める。
性別も、役割も、起源も不明。
ただひとつ確かなのは、“それ”の存在が秩序の中に微かな異音を走らせていくこと。
「定義できないもの」は、
排除されるのか、再編されるのか。
誰かになろうともせず、ただ“いる”だけで変化を引き起こす――
これは、世界の輪郭が崩れる音を聞いてしまった人々の、静かな崩壊の記録。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-09 06:45:56
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