小学校教師である僕がこの春から受け持つことになった幼き少女夢見鳥《ゆめみどり》愛明《めあ》は、何と人の不幸を予知できるという異能の力を持つゆえに『忌まわしき魔女』として、当時の担任も含めた学級ぐるみでいじめまがいの目に遭って、去年からずっ
と登校拒否を続けていた。
確かに彼女はこの国で古くから密かに権力者に仕えてきた異能の一族である『幸福な予言の巫女』の血筋であったが、突然変異の忌み子たる『不幸な予言の巫女』であるゆえに、一族の反逆者である叔母に引き取られなければ、闇から闇に葬られるところだったと言う。
一般社会どころか同族である異能の一族からも見放された愛明は、周囲に対してはもちろん、自分自身に対しても絶望して完全に心を閉じてしまっていたのだが、僕はそんな彼女を勝ち負けだけがすべてを決する裏社会の賭け将棋大会に出場させて、むしろ『不幸な未来の予知能力』を積極的に使わせることによって、自信を取り戻させようとするのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-10 13:51:58
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